「ラーメンの味を守りたい」「“同性愛者で難民申請”も日本人妻と結婚」 トンデモ難民続出の認定現場(1)
「朝日新聞」を中心に、「日本は冷たい国だ」なる声が喧しい。曰く、毎年の難民認定数が少ない、シリア難民受け入れに消極的だ――。しかし現実を無視して語るなかれ。日本の「難民認定」の現場は「ニセ申請」の山や「不法就労者」の行列との格闘で手いっぱいなのだ。
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包丁が日々の暮らしを便利にする一方、人を殺す道具にもなるように、また、言葉が人を救う一方、時に奈落の底にも突き落すように、物や事象は、その使い方によって、結果に大きな違いを生み出すものだ。
「数字」についても同様である。曖昧な事柄を、万人共通の指標の下に可視化できる一方、背景や経緯についての洞察を欠けば、独り歩きし、実態とかけ離れた姿を描き出す――。
〈5000分の11〉
〈63分の3〉
昨今、日本の難民認定について、この2つの「数字」を基に、大々的な批判が繰り広げられている。
入国管理局を所管する、法務省の関係者によれば、
「前者は昨年、日本政府に難民申請をした外国人が5000人ちょうどだったのに対し、実際に認定されたのが11人だったということ。これは0・2%に過ぎず、“宝くじに当たるようなものだ”と批判が上がっています。また、後者は、日本政府に難民申請を出した『シリア難民』が63人であるのに対し、認定されたのは3人しかいないということ。80万人を受け入れる見通しのドイツなどを引き合いに出し、“世界基準から遅れている”などといった批判が出ているのです」
■「朝日」「毎日」
難民受け入れと言えば、醸し出されるのは「人権」の匂い。想像が付くように、そうした論調をリードするのは、「朝日新聞」である。
例えば、〈難民 世界と私たち〉なる連載記事では、
〈昨年の認定数は11人。米国や欧州と比べ極めて少ない〉(8月3日付)
〈認定3人 厳格な要件解釈〉(9月28日付)
などと2つの数字を持ち出し、社説でも、
〈国際貢献というにはあまりに規模が小さすぎる。日本政府は大胆な受け入れ策を打ち出すべきだ〉(9月27日付)
〈日本の厳しすぎる難民認定基準は見直す必要がある〉(10月1日付)
と、政府に難民受け入れの拡大を迫っている。
「毎日新聞」の場合は、よりその傾向が顕著で、
〈「難民鎖国」と呼ばれる日本の閉鎖性を改め、紛争地からの難民を積極的に受け入れることも検討すべきだ〉(9月8日付社説)
〈金だけ支援 入国はNO「鎖国日本」に厳しい視線〉(10月6日付記事)
等々、厳しい批判を浴びせているのだ。
こうした“大新聞”に加えて、アムネスティなどの「人権団体」や辛坊治郎、田原総一朗両氏などさまざまな「識者」も先の数字を振りかざして議論に参戦。難民を受け入れない日本は「冷たい国」だ、と言わんばかりの大合唱が起こっているのである。
■「よくぞ5000人から11人を発掘したものだ」
ところが、だ。
「現場で認定に携わる身としてみれば、よくぞ5000人から11人を発掘したものだ、と思います」
と、前者の数字の“本当の意味”を説くのは、難民などの支援団体『さぽうと21』理事長の吹浦忠正氏である。
吹浦氏の話に耳を傾ける前に、そもそも「難民」とは何か、を説明しておこう。
「難民条約」はその定義を、大要こう記している。
〈人種、宗教、国籍、政治的意見などを理由として迫害の恐れがあり、国の保護を受けることが出来ない、もしくは望まない者〉
日本は1981年、これに加入し、難民を受け入れる義務を負うことになった。
現在の認定制度では、ある外国人が「難民申請」をした場合、まず、入国管理局の難民調査官の審査を受ける。そこで不認定になったとしても、異議申し立てが可能で、その場合、難民審査参与員の審査を受けることになる。ここでまた不認定となったとしても、さらに、行政訴訟を起こすことが出来るのだ。
吹浦氏は支援団体で約40年間、また、3年前からはこの「参与員」としても、難民問題に取り組んできた。
しかし、
「“日本の難民受け入れ数を増やしたい”“難民に冷たい法務大臣の鼻を明かしてやろう”と思って参与員を引き受けました。が、実際は、申し立てをする“難民”の主張は矛盾だらけか、そうでなくとも、難民の定義には当てはまらないものばかりだったのです」
と言う。
■ラーメンの味を守るため…
その事例を見ていこう。
「例えば、イランからの男性の申請者は“私はイスラム教からキリスト教へ改宗し、2年半毎週教会へ通っています。国へ帰れば殺されます”という主張でした。しかし、“クリスマスとはどういう日ですか?”と聞いても、“キリストの母は誰ですか?”と聞いても“わかりません”を繰り返す。酒を覚えただけゆえに“改宗”した人でした」
続いて、アフリカ・ウガンダ出身の不法滞在者(男性)のケースはこんな具合だ。
「ウガンダでは、同性愛が禁じられ、見つかると最悪の場合、死刑に処されます。このウガンダ出身の“難民”は、“私は同性愛者です。国に帰れば殺されます”と主張していた。しかし、よく調べてみると、この人は日本人女性と結婚して、子どもまでもうけていたことがわかったのです」
変わったところでは、ミャンマー人の男性不法滞在者の例がある。
「“私は十数年、行列の出来るラーメン屋で働いてきました。でも、去年、店のオヤジさんが倒れてしまい、私以外、ラーメンを作る者がいない。オヤジさんのラーメンの味を守りたいので、日本で働かせてください”と言うのです。確かに泣かせる話ですが、それが事実かどうかもわかりませんし、事実だとしても、難民申請の理由にはまったく当てはまらない。残念ですが、却下しました」
こんな具合で、吹浦氏は3年間で100件以上の面接をしたが、認定者は未だ「ゼロ」だという。
さらなる怪しい申請理由を「トンデモ難民続出の認定現場事情(2)」で紹介しよう。
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