歴代社長を提訴する「東芝社長」の「参謀」と「後ろ盾」

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 恩知らずの汚名を覚悟の上で、会社を存続させるとしたらどんな手段があるのか。不正会計問題の混乱中、会長から社長になった室町正志氏(65)が選んだのは歴代3社長の提訴だった。

 東芝が社内に設置した役員責任調査委員会は、11月8日をメドに取締役会へ最終報告書を提出する。

「それは、確実に歴代3社長の責任を問う内容になるでしょう」

 こう語るのは、全国紙の経済部記者だ。

「9月30日開催の臨時株主総会でも、株主から歴代経営トップの責任を問う声が噴出しました。東芝は年内にも提訴に踏み切る見通しです。そのなかには社長経験のない元副社長の室町さんを、後継会長に指名した西田厚聰元会長が含まれている。気の弱い彼が大恩人に弓を引くかっこうになります」

 だが、ライバルの電機メーカー幹部は、室町社長には強力な後ろ盾がいると指摘する。

「日本郵政の社長を務める“東芝のドン”西室泰三さんが、室町体制を全面的にバックアップしている。西田元会長に頭の上がらない室町さんに、西室さんが“会社を存続させるためには、彼らを提訴するしかない”とハッパをかけたのでしょう」

 強力な後ろ盾のみならず、室町社長には優秀な参謀が背後に控えているという。東芝の中堅幹部がこう耳打ちする。

「提訴前には、社内で法的な問題を議論しなければなりません。早大大学院理工学研究科修了で技術畑一筋の室町社長は門外漢ですが、そこは実弟の正実さんが内々にアドバイスするはずです」

 室町社長より1つ年下の正実氏は、1978年に早稲田大学大学院の法学研究科を修了後、司法試験に合格した弁護士だ。

「正実さんは情報関連の法律の専門家で、特に電子商取引に関しては第一人者と言われている。企業の民事再生を数多く手がける東京丸の内法律事務所に所属し、昨年1月から代表弁護士に就任したヤリ手です」(同)

 強力な後ろ盾と優秀な参謀を従える室町社長。これで難局を乗り切れないなら、辞任するしかないのだ。

週刊新潮 2015年11月12日号掲載

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