内部告発! 維新が割れた“元凶”は橋下市長も遠慮する“あの男”の存在だった!

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 夏から続いた「維新の党」の分裂騒ぎは、「大阪側」が独自に党大会を開き、解散を宣言したことで、緊張の頂点を迎えた。むろん、渦中で「東京側」に悪口雑言の限りを浴びせた橋下徹・大阪市長だが、振り返れば、この醜態の裏には「黒幕」の存在があったという。

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橋下徹大阪市長

 練りに練った大演説より、ふとした「つぶやき」にこそ、その人の「心性」が表れることがある。

〈何で知事が由伸さんにエールを?と思ってクリックしたら、そりゃそうだよね。松井と聞いて知事しか思い浮かばないというのは、僕は相当病んでるな〉

 大阪側「維新の党」が「臨時党大会」を行った翌10月25日、そうツイッターに記した橋下徹・大阪市長(46)。

 プロ野球・巨人の新監督に対し、松井秀喜氏がエールを送った。そのネット記事の見出しを見て、松井一郎・大阪府知事(51)が送ったものと勘違いしてしまった――そう呟いたのだ。

 このことの持つ“意味”については後述するとして、本人自ら「病」と述べるように、確かに分裂騒動における橋下氏の言動は以前に比べて激しさを増している。

 昨日までの同志を「バカ」「へなちょこ」「小ネズミ」「オツム大丈夫か?」と罵る。あるいは、刑事告訴を100件から200件起こすと脅してみせる……。

 東京側「維新の党」の議員が呆れて言う。

「橋下さんは、『維新』に振り込まれた政党交付金について、『残ったお金は国庫に返納する』と言っています。ところが、うちは、債務が8億円もある赤字会計。『返納』など出来ない状態なのです。しかも、そのうち5億円は、5月の大阪都構想の住民投票で、橋下さんがテレビのCMにバンバン出るなどして遣われたもの。その支払いを広告代理店に待ってもらっている状態です。それをわかっての発言でしょうから、よくぞここまでウソが言える、と唖然としました」

 橋下氏の「二枚舌」についてはよく知っているはずの「元同志」をも驚かす三百代言。一体、彼がここまで振り切れてしまったのはなぜか。実はそこに、新聞が報じない“真相”が隠されているというのだ――。

「今回の分裂は、府知事による“松井クーデター”というべきもの。東京側を激しく攻撃している橋下さんも、実際は、府知事に操られて半ば仕方なく戦闘ポーズを取らされているに過ぎないのです」

 と振り返るのは、双方の内情に詳しい「維新の党」の関係者である。

 報道されている騒動の発端は、今夏の山形市長選。当時幹事長だった柿沢未途氏が、8月14日、推薦外の候補を応援に行ったことがキッカケだった。これに橋下氏や松井府知事が「責任を取れ!」と猛反発したのである。

 しかし、実際は、

「橋下さんは当初、何とか騒動を収めようと必死でした。7月に橋下さんと松井さんは官邸と野党とどちらに軸足を置くかで諍いがあり、しばらく口も利かないような状況だった。その2人が8月22日、秋田県の大曲で行われた花火大会に招待され、久々に顔を合わせたんです。桟敷席で橋下さんは“柿沢さんが辞めるような話ではない”と松井さんを説得。帰りの飛行機の中でも続き、合計5時間にも亘った。それでも、松井さんはガンとして受け付けませんでした」(同)

 そこで、橋下氏はさらなる仲裁策を練る。柿沢氏と松井氏との公開討論会を行ってそこで決着をつけるべし、と提案したのだ。

「一時はうまく行きそうだったこの討論会は結局、流れてしまい、事態は紛糾。26日に松井さんが党を離れることを表明します。しかし、それを橋下さんは知らなかった。松井さんから相談すら受けていず、党の関係者からそれを聞いて、“えっ”と絶句してしまったのです。つまり、松井さんの独走に、あの橋下さんが振り回されていたというワケなのです」(同)

 慌てた橋下氏は、翌27日、府知事に追随し、自らの離党を表明。しかし、その際にも、午後、記者会見で「党を割らない」と明言していた。

 ところが、舌の根も乾かぬ翌28日には、「大阪維新の会を国政政党化する」と述べ、「党を割る」ことを自ら宣言。ちゃぶ台返しを行ったのである。

■カジノとリニア

 一体、何があったのか。

 ここでも松井氏の影が透けて見えるのである。

「実は、この28日夜、橋下さんは、民主党の前原誠司元国交相らと京都で会合を持つ予定でした」

 と、関係者が続ける。

「野党再編についての戦略を話し合う予定だったのです。今では橋下さんは、東京側の野党再編論を罵倒していますが、この時点では、橋下さん自ら、賛成していたということです。橋下さんがこの会合をキャンセルしたのは、前日27日の夜9時。『党を割らない』と言ったのは、その日の午後。つまり、この数時間の間に橋下さんはガラッと態度を変えてしまったのです」

 そのため、この“空白の時間”に、松井氏などに詰め寄られ、方針を転換せざるを得なかったのでは――と見られているのだ。

 なぜなら、

「松井さんにとってみれば、『維新』が野党とくっつく道というのは、絶対に取ることが出来ません。なぜなら、橋下というカリスマが引退した後も、大阪で勢力を維持していかなければならない松井さんは、大阪都構想、カジノの誘致、リニア新幹線の早期大阪延伸という、3つの課題を前に進めていくことが必須。さもないと、維新の存在感は低下し、自らばかりか、府下の地方議員150人の存続が危ぶまれるのです。そのためには官邸の力が不可欠。すなわち、菅官房長官との“蜜月”を保ち続けていくしかないのです」(同)

 一方の松野頼久代表(55)ら東京側は、野党再編に積極的な立場。彼らを追い落とすための機会を窺っていた松井氏サイドに訪れたのが、前述の柿沢氏の行動だった。

「松井さんと橋下さんは、まさに兄弟。他の人が入り込む余地はありません」

 と、関係者の解説は続く。

「あれだけ人に噛み付く橋下さんですが、松井さんとはずっと“蜜月”を保ってきました。一弁護士だった自分を知事、市長、国政政党の代表へとステップアップさせてくれた松井さんには頭が上がらない。それに加えて、12月18日で橋下さんは、ひとまず“引退”するという“負い目”もある。そういう状況の下では、松井さんや大阪の議員から“東京側に有利な裁定をして、今後、俺たちはどうすれば良いのか!”と突き上げを食らえば、態度を豹変せざるを得ない。内心、忸怩たる思いの中、松井さんたちのために、悪役を引き受け、東京側への罵詈雑言を並べているのではないか、と思うのです」

 となれば、冒頭のツイッターのように、「松井」の二文字を見ただけで勘違いするほど、意識が府知事に向いているというのも、頷けるのである。

 そして、一方の松井府知事側は、橋下氏の義侠心に付け込んで、自らの地位確保という「わがまま」を通したことになるというワケなのだ。

「特集 新聞が報じない仰天の真相! 『維新』醜態の元凶は『橋下』大阪市長を操るわがままな黒幕」より

週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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