血圧が下がって美容にもいい1日15分の「血管マッサージ」――明田昌三(医学博士・榊原温泉病院名誉院長)

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■私も血圧が50下がった

 以上述べてきましたが、このマッサージはあくまでセルフケア、自分でできる健康法です。医療行為ではなく、私の病院でも患者さんに勧めはしますが、代わりに薬は投与しない、というわけではありません。

 それでも、これまで診てきた限りでは、マッサージを1年以上続けた方の9割が、高血圧の改善に成功しています。人数にして60人ほど、中には1、2カ月と短期で数値が下がった方もいます。また、顔と耳のマッサージを1カ月行っただけで耳鳴りが軽減し、かすみ目も改善したという女性や、最高血圧が180を超えていたものの、マッサージを数年続けて120程度に収まり、今では真夏にゴルフをしても変動なし、という患者さんもいます。

 印象深かったのは、脳梗塞を患った50代男性のケースです。後遺症で顔の右半分が麻痺し、舌も斜めに曲がって絶えず涎が出るような状態でした。会話もままならない中、頭や頬、まぶたや首にマッサージを続けたところ、3、4カ月で顔面麻痺が軽減し、口に入れた食べ物をこぼすこともなくなりました。舌の麻痺も消え、言葉もうまく発音できるようになったのです。

 かくいう私も、かつて仕事に追われて生活が不規則になり、血圧が180にまで上がった経験があります。慌てて毎朝5~10分ほど血管マッサージを施し、半年後には130にまで下げました。今では毎晩、入浴時に四肢を中心に行っています。湯船の中では、手が届きにくい足指や足裏、ふくらはぎなどが浮力のおかげで揉みやすくなるので、皆さんにもおすすめです。

 世界保健機関(WHO)が5月に発表した2015年版「世界保健統計」によれば、男女合わせた日本人の平均寿命は84歳で、加盟国の中で最長です。もっとも長寿には2つあって、現在の日本では、寝たきりで全身に管を入れられた状態の「病的長寿」が大勢を占めます。本来、心身ともに健康で最期は畳の上で天寿をまっとうする「健康長寿」が望ましいのは言うまでもありません。

 カナダの偉大な医学者、ウィリアム・オスラーは、

〈ヒトは血管とともに老いる〉

 と言いました。まさに血流こそが健康の源なのです。

明田昌三(あけだ・しょうぞう)
1972年、三重県立大学医学部大学院(病理学専攻)修了。78年、米国カリフォルニア大学留学。帰国後、榊原温泉病院院長に就任し、03年から名誉院長。著書に『「血管をもむ」と健康になる』など。

週刊新潮 2015年10月29日号掲載

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