ユネスコ「南京事件登録」で叩かれる「斎木次官」

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 手に入れれば手に入れるほど、欲しくなるのが、人間のサガなのか。カネ持ちほどケチが多く、エリートほど地位に固執する。

 外務省の斎木昭隆事務次官(63)を巡る不穏な現象も、そんな真理を物語る。

「10月初旬、中国が申請した南京事件の資料がユネスコの世界記憶遺産に登録されたことを受け、斎木さんの責任を追及する声があがっているんです」

 とは、外務省関係者。

「この問題は大臣官房の国際文化協力室の担当とはいえ、事前に中国の動向を探らせ、登録を防ぐべく、ユネスコヘの根回しを徹底しなかったのは、斎木さんのミス。で、この件を機に、彼の3年超の“長期政権”を阻止しようとする勢力が勢いづいている」

 筆頭格は、斎木次官に次ぐ地位にある杉山晋輔外務審議官(62)で、

「この9月の人事で、次官への就任を目論んでいました。審議官として安倍総理の外遊や会食に同行する機会が増え、てっきり高く評価されていると思い込んでいたのでしょう。実際はさほど信頼されておらず、蓋を開けてみたら斎木さんが留任したうえ、次の次官は5年後輩の秋葉剛男総合外交政策局長だなんて話まで持ち上がったものだから、相当、焦っていました」

 その矢先にもたらされた“敵失”が、ユネスコ登録問題であった。

 政治部記者が続ける。

「杉山さんはコメントを求めた記者に対し、嬉しそうに“斎木さん、やっちゃったね~!”と語っていました。彼の周りには、斎木さんの対中強硬策を苦々しく思ってきたチャイナスクールが群がっていて、虎視眈々と“斎木降ろし”を狙っている。で、責任を問う声を必死に上げているんです」

 足を引っ張って喜ぶ人間性に、大役は任せられまい。

週刊新潮 2015年11月5日号掲載

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