“インバウンド(訪日外国人)の壁”は観光庁の“お役所アタマ”

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 2020年までに2000万人――との政府目標達成が早くも見えてきた「インバウンド」(訪日外国人)だが、油断は禁物。何せ、“壁”の存在が見え隠れしているのだ。

 観光庁が毎年行っている「訪日外国人消費動向調査」に、「来訪回数」という項目がある。

 経済部記者によれば、

「この集計結果からリピート率が分かるのですが、インバウンドが約1000万人だった一昨年が64・9%なら、1300万人を突破した昨年は62・4%と、殆ど横ばい。増えた分の300万人のうち、リピーターは半分ちょっとしかいません。一度来ただけで飽きられてしまっていては、早々に頭打ちになるばかりか、激減さえしかねないでしょう」

 実際、10月14日に東京・銀座「三越」が「最旬グローバル百貨店」と銘打って新装開店したのも、リピーター対策の一環だ。日本伝統工芸品や日本ブランドの服飾品などを拡充し、外国人向けのゲストラウンジを新設。年内には8階全体にまたがる空港型免税店まで誕生する。

 それなら、肝心の観光庁はどんな手立てを講じているのかというと、テーマは「地方」。

「現在、訪日外国人の多くが『ゴールデンルート』と呼ばれる東京、京都、大阪に滞在しているので、リピーターを増やすには、それ以外の地域を売り出す必要がある」(国際観光課)

 というわけで、今年6月に北海道、東北、四国、九州といった全国7地域で「広域観光周遊ルート」なるものを認定し、総額5億円以上の支援を行っていくという。

 が、先の記者が言う。

「各地域の周遊ルートを見ると、東北は“日本の奥の院”と題して十和田、仙台、会津などで食文化、歴史を探訪し、九州は“全国一の温泉アイランド”をコンセプトに、福岡や阿蘇を巡る内容になっている。名の知れた観光地を繋いで冠をつけただけの、まさにお役所アタマの賜物」

“壁”を突破できるか。

週刊新潮 2015年10月29日号掲載

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