「勝負脳」でゴルファー日本一になった「小平智」
“古閑美保の彼氏”などという枕がついて紹介されたりするが、この男、ただ者ではない。
今年の日本オープンは小平智(26)が、2位・池田勇太(29)を1打差で破って今季初優勝を飾った。昨年は池田が勝って、小平は2位。見事に雪辱を果たした。
この1年で二人の立場が逆転したのはなぜか。
小平によると、林成之日大名誉教授による薫陶の賜物だという。林氏といえば、水泳の北島康介やなでしこジャパンの指導で知られ、20万部のベストセラー『〈勝負脳〉の鍛え方』など脳科学に関する著作を上梓している脳神経外科医だ。
「知人に教えてもらい本を読んだのがきっかけ。興味がわいたので紹介してもらって、1カ月前から勉強を始めました」
と小平。短期間でかくも効果がある指導とはいかなるものか。小平に問うと、
「マイナスの事は考えない」
メンタルトレーニングということか。
だが、林氏に直接伺うと、
「私が教えているのは脳科学であって、“メンタル”じゃない。メンタルは自己保存本能。メンタルでは試合は勝てません」
わかったような、わからないような……。
ただ、優勝会見で、小平はこう語っている。
「最終ホール(タイスコアの池田がボギーになりそうな場面で)、今までならパーにしようと思って(パットを打って)いたけど、バーディを獲る気で打てた」
「断トツで優勝するイメージでいたけど、この僅差。自分の弱さだと思う」
“勝ち”にこだわるというより、“勝ち方”にこだわっているのだ。
林氏が賛辞を贈る。
「日本人ゴルファーが海外でなかなか勝てないのは脳科学的に説明できる。小平君には、そこを打ち破る最初の選手になってほしい」
今大会優勝で出場権を獲得した全英オープンに期待。