通帳と印鑑を握られた維新「松野頼久」の地団駄

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「人間とは何か」という問いに「愚かな赤ん坊だ」と答えたのは、思想家のトマス・カーライルである。曰く、「無駄に努力し、戦い、苛立ち、何もかも欲しがりながら、何にも値せず、小さな墓を一つ得るだけ」。

 維新の党の松野頼久代表(55)に前代未聞の戦いを吹っかけた、橋下徹大阪市長(46)の姿が重なろう。

「もはや松野さんは、唖然として言葉も出ない様子」

 とは、ある幹部。

大人の対応

「10月13日に分党を拒否することが正式に決まった途端、橋下さんが党規約を曲解して、“松野さんに代表の資格はない”“松野執行部は存在しない”などと言い出した。じゃあ、昨日まで分党を交渉していた相手はどこの誰だったんだという話になるのに、そのうえ大阪側で、党の銀行口座の通帳と印鑑まで握ってしまったんですからね」

 橋下氏の企みは、24日に臨時党大会を開いて新代表を選出し、党の解散を決めてしまおうというもの。

「当初は分党による政党交付金の分割を求めていたのに、大阪の有権者から批判の声が上がり、どちらにもカネが入らない解散へと方向転換した。6億円にも上る10月分の政党交付金から5億円の借金を返済し、残りを国庫に返納するのだそうですよ」(同)

 この“赤ん坊の愚行”に松野氏はどう抗うのか。別の党関係者が言う。

橋下徹大阪市長(46)

「銀行には改印届を出したので、大阪側がお金を引き出すことはできませんが、問題は法律上、2種類ある党の解散届。政党助成法に基づくものには、改印した新しい印鑑が必要ですが、政治資金規制法に則るものは認印で良いのです」

 総務省の担当者は、

「前例のないことなので、何とも申し上げられませんが、維新の党の現状を踏まえ、必要な確認を取る可能性はあります」

 と素気なく、先の党関係者はこう続ける。

「大阪側が届出を出せば、私文書偽造等の罪で訴えることも検討しています。ただ、司法が政党の正当性を判断するのは容易ではない」

 この戦いが何にも値しないことだけは確かである。

週刊新潮 2015年10月29日号掲載

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