大阪府連幹部を騙ってハガキ郵送「佐藤ゆかり」代議士の私文書偽造

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 よほど水が合わないのか、とかくこの人は騒がしい。昨年暮れの総選挙を機に、大阪府の枚方市に地盤を移したばかりの佐藤ゆかり代議士(54)である。去る10月5日、彼女は自民党大阪府連の幹部の名前を騙って地元党員に往復ハガキを送っていた。当事者は私文書偽造だと今も怒り心頭だ。

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佐藤ゆかり代議士(54)

「佐藤さんが“枚方市支部長が不在なので臨時支部会が開催できない。府連会長の権限なら開催できるから、権限を委任して欲しい”と言うのを受け入れただけ。僕の名前でハガキを送るとか、僕が支部会を開くなんて絶対に認めてない。あくまで“自分でやるならどうぞ”と、こういう話です」

 憤懣やる方ない様子で語るのは、10月12日まで自民党大阪府連会長を務めた竹本直一代議士(74)だ。

「知人から知らせを受けて、佐藤さんに電話をしたら、“確認のメールを送ってある”と言う。僕はメールなんかしないから、“そんなのは見ていないし、とにかく話が違うじゃないか”と抗議をした。それでもきちんと説明しないんだよね。本当に迷惑な話だよ」

 佐藤氏が送った往復ハガキの差出人の欄には確かに、

〈自由民主党大阪府支部連合会 会長 竹本直一〉

 とある。内容は、

〈枚方市支部臨時大会を開催いたします。支部規約に則り支部長以下役員選任を議題とし、自民党議員団による役員人事案を議案とします。枚方市支部では出来成元氏の後任支部長が空席のため、大阪府連会長名で招集致しました〉

 ところが、返信先には佐藤事務所の住所が印字されている。これが佐藤氏による、無印私文書偽造の動かぬ証拠というワケである。

■勘違い

「どうやら私の任期を勘違いしているようなんです」

 枚方市支部長の出来成元(できしげちか)・元府議が、佐藤氏の“暴走”の理由を説明する。出来氏はこれまで、枚方市支部の運営や市議の活動方針を巡って佐藤氏と激しく対立してきた。

「私が支部長に内定したのが2013年の6月で、正式就任は14年4月。任期は2年なので、来年4月までは私が支部長。ところが佐藤さんは、任期は内定した時からと思い込んでいて、今年の6月で任期は切れたと主張している。私を辞めさせたいんでしょうね」

 自民党の大阪府連は出来氏の言い分を認め、今も彼が正式な支部長と回答した。そこで刑法が専門の日大名誉教授の板倉宏氏に聞くと、

「権限を委任されたからといって、委任者の名前を使って良いということにはなりません。佐藤さんは竹本氏から委任されたことを明記した上で、自分の名前でハガキを出すべきでした。無印私文書偽造は1年以下の懲役ないし10万円以下の罰金ですが、この場合は執行猶予付きの懲役6カ月というところでしょう」

 当の佐藤氏の回答は、

「竹本府連会長名による大会招集は、自民党本部顧問弁護士からの意見書に沿っており、竹本会長とも明確に合意決定されています」

 国替えから1年たらずで四面楚歌。騒動は尾を引きそうだ。

「ワイド特集 子供だましの代償」より

週刊新潮 2015年10月22日号掲載

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