スパイを完全否定した「菅官房長官」は恥をかいたか?

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 菅義偉官房長官は、今度の内閣改造でなぜ続投することになったのか。それは、危機管理に優れ、失言が少ないからである。が、今回は、意外な発言が飛び出した。「我が国はスパイ行為は絶対していない」。会見でこう完全否定したのである。

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 菅氏は、平日毎朝5時に起床し、主要な新聞に目を通す。そして、6時半からのNHKニュースを見るという。その日の官房長官会見での記者からの質問に備えるためである。

 今度の日本人拘束事件を最初に報じたのは、9月30日の朝日新聞(朝刊)であった。官房長官には、役所からのあらゆる情報が集まる。30日も朝日の記事を目にし、午前中に行われる官房長官会見での対応を練ったはずだ。

「当然、その日の午前の会見では、冒頭から日本人の拘束について、質問が集中しました」

 とは、官邸担当記者。

「むろん、何を聞いても『個別の事案についてはコメントを差し控える』『政府として全力で取り組んでいる』でまともに答えようとしませんでした。ところが、唯一、質問内容を否定する場面がありました」

記者「邦人がスパイ行為をしているとのこと。政府が送り込んだ事実はあるか?」

菅「(中略)我が国はそうしたことは絶対にしない。これは全ての国に対して申し上げておきたい」

 外交評論家の田久保忠衛氏に言わせると、

「菅さんにすれば、この程度の活動は、スパイに値しないということでしょう。『スパイ活動はしていない』と否定するのも当然でしょう」

 だが、インテリジェンスに詳しい作家の佐藤優氏はこう言う。

「今回の菅さんの答えは0点。インテリジェンスに関する質問は、『やっている』『やっていない』で答えてはいけない。『ノーコメント』で通すべきです。『やっていない』と嘘をついたのは、大きな問題。菅さんは、公安調査庁が何をやっているのか、知らなかったのかもしれません。これは、政治家としての基礎体力の問題です。インテリジェンスのど素人が官房長官をやっていると、世界中から笑われていることでしょう」

 今後は、

「中国の外交部が会見で逮捕の事実を認めたということは、裏付け捜査は終わり、結論も出ているということ。あとは、彼らを外交カードにして『日本を懲らしめてやる』と考えているはずです」(同)

 恥をかいた菅官房長官。インテリジェンスが弱点と見た。

「特集 中国にノンプロ『007』を囚われた『公安調査庁』」より

週刊新潮 2015年10月15日神無月増大号掲載

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