復元された古代のDNAが示す事実/『ネアンデルタール人は私たちと交配した』

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 本書は、早熟で、誠実なスウェーデン生まれの分子生物学者が、若き日の志を保持しつづけることによって、あまたの研究上の困難、外野の雑音などに妨げられることなく、ついにネアンデルタール人のゲノム解読という大きな結実を手にするまでの、きわめてハッピーな学問的半生記である。それにしても研究者にとって誠実さとは何か。思うにそれは、困難をウヤムヤのままにしないということであろう。

 古代生物の遺伝子解読がブームになり始めた頃、映画「ジュラシック・パーク」ではないが、一種の古さ競争が起こり、琥珀に閉じ込められた中生代生物のDNAまで、研究の対象にされかけたことがある。...

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