司法試験漏洩「ブルー卿」と偏差値36の田舎大学「メガネ女子」

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 憲法学者の多くは集団的自衛権を違憲と考えているそうだが、明治大学法科大学院の青柳幸一元教授(67)の場合は、違法を承知で「個人的漏洩権」を行使してしまったわけである。名前の「青」から「ブルー卿」と仇名されるほどプライドが高くて、可愛い娘が大好き。そんな評判の御仁から司法試験問題を教えてもらった「教え子」とは。

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明治大学

「青柳先生は、好みの女子学生を神田の高級レストランに連れ出してはご馳走するのが決まりでした。何しろ司法試験考査委員の取りまとめ役ですから、誘われたら断るはずがない。青柳さんはそこで、恋愛やプライベートな話題で盛り上がるのが趣味なんです。だから、今回の漏洩事件が発覚して、すぐ漏らした相手が分かりましたよ。あの娘だって」

 そう明かすのは明治大学法科大学院のOBだ。9月11日、明治大学は法科大学院教授の青柳幸一氏を懲戒免職処分にすると発表した。すでに、論文試験の内容を漏らしたとして国家公務員法違反の疑いで告発されている青柳氏だが、さらには短答試験の内容も教えていたとされる。

「法務省は青柳氏と教え子の両方から事情を聴いていますが、教え子から漏洩を要求してはおらず、彼女が罪に問われることはありません。しかし、その結果、短答試験が満点、論文も高得点というのは、カンニングと変わらない。彼女は今後5年間の受験を禁止されていますが、名前も把握されていますから、事実上、法曹の道は難しくなったと言っていいでしょう」(社会部記者)

 それにしても、青柳氏が、特別に司法試験の問題を教えるほどの「教え子」とはどんな女性なのか。

 名前は仮に伊集院由美子さん(26)としておこう。彼女が明治大学法科大学院に入学したのは2012年のこと。この年の入学試験は約10倍の狭き門だった。

■特待生で入学

 先の明大法科大学院OBが言う。

「彼女は丸顔でメガネをかけた、いわゆる“メガネ女子”です。美人というより、グラマー系。異色なのは、鹿児島の志學館という大学から来たことでした」

 この志學館大学とは、地元の女子大が99年に改称し、法学部と人間関係学部の2学部がある。しかし、偏差値は35~36。河合塾などは偏差値の算出困難としている。この大学からの司法試験合格者は過去に1名いるものの、ブランド大学が幅を利かす法曹界では全く無名の学校だ。

 だが、彼女を知る高校時代の恩師が言うのだ。

「もともと彼女は、国立大理系学部を目指すクラスにいたのです。志望は、地元の国立大学医学部保健学科。将来は看護師になりたいというのが夢でしたが、推薦試験に落ちてしまった。努力家だし成績優秀だったので理学部か農学部を受け直すのかと思ったら、“保健学科でないのなら他の理系に進んでも意味がありません。進路を変えて法学部に行きたい”と言うのです。そして、親に経済的な負担をかけたくなかったのでしょう。地元で法学部のある志學館大学を自分で選び、特待生で入学したのです」

 この恩師は彼女の言った言葉を今でも覚えている。

「私は大学の名前には頼らない。資格を取って同級生に負けないように頑張る」

 その決意通り、伊集院さんは2年で宅地建物取引主任者(当時)、3年で行政書士に合格する。行政書士は合格率10%を切る難関試験だ。

「伊集院さんは在学中に2つの資格を取ったことで、さらに上を目指したくなった。それで、明治の法科大学院に入ったのです」(同)

 そして、昨年、司法試験に初チャレンジしたが失敗。今年は2回目の受験だったのである。そんな時、目の前に、合格への「裏口通行証」をぶら下げられて、つい手を出してしまったのだろうか。

 だが、それは法曹が戒める「魚心に水心」そのもの。高校時代、学校の知名度に頼らず、自分の未来を切り開こうとした彼女の覚悟は、そこにはない。

【特集】「ごくごく個人的自衛権の問題」より

週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載

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