法案成立で中国の南シナ海の横暴は止まるか?

国際 中国

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 審議の場が参院に移ってから、安倍総理は中国を名指しして安保法案の必要性を訴えてきた。かの国が南シナ海で大規模な埋め立てを行っていることなどを現実的な脅威として例示したわけだが、

「中国にしてみると、南シナ海はただでさえベトナムやフィリピンなど周辺諸国と対立している係争地であり、日本が今以上にこの問題に介入してくることを危惧しています」

 と、ジャーナリストの高口康太氏は語る。

「中国は南シナ海の人工島の周辺を領海だと主張していますが、アメリカはそれを認めず、周辺に艦船を送ることを検討しているとも言われている。安保法案が成立すれば、日本の船はアメリカの船への燃料補給を名目にして人工島の付近を巡航するかもしれない。そうしたことを中国は懸念しているのです」

 ただし、それは単なる「懸念」に過ぎず、

「日本で安保法案が通ったからといって、中国が南シナ海などでの膨張政策を改めることはない」

 と、北京特派員。京都大学名誉教授の中西輝政氏もこう警告する。

「法案成立により、日米による抑止力は高まりますが、当面は書類上だけのことです。法案成立で中国がおとなしくなる、などと楽観的に見てはいけません。南シナ海では今まで通りに海を埋め立て、そこに滑走路を敷いて戦闘機を配備するでしょう」

 では、どうすれば中国の横暴を止められるのか。

「中国に対抗するには、日本の意志と覚悟が求められる。つまり、今回の法案に見合った能力整備ができるか、ということです」

 と、中西氏は言う。

「能力整備とは、自衛隊や海保の予算を画期的に上げて、能力を高めることです。予算は最低でも5%は上げたいところです。また、水陸機動団の発足も2018年などと言わず、計画を前倒しすればいい。とにかく引かない姿勢を示すことが求められているのです」

 一歩引けば二歩踏み込んでくる。それが中国だということを忘れてはならない。

【特集】「『安保法案』7つの疑問」より

週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載

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