リーグ独走V「工藤公康監督」を助けた“陰の功労者”

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 おめでとう! この号が発売される頃にはたぶん優勝を決めているでしょう、ソフトバンクホークス諸君。

 昨年度日本一に輝いた圧倒的戦力を引き継いだのは、監督経験ゼロだった工藤公康監督(52)。

「“誰が監督をやっても優勝できる”なんて言われてますけど、工藤監督が偉かったのは、“何もしなかった”ところです」

 と、スポーツ紙デスクが意地悪な賛辞を贈る。

「選手起用も采配も平凡で、新監督にありがちな、独自色を打ち出すようなことが皆無でした。秋山監督時代と変わったところといえば、柳田を1番から3番にしたことくらいですかね」

 昨季より自由気ままに打てるようになった柳田は、3割30本塁打30盗塁の“トリプルスリー”確定という活躍ぶりだ。が、

「それ以外は特筆に値する変化はありませんね」(同)

 一方で、

「投手起用に関しては、感心する点もありましたよ」

 と全国紙記者は擁護する。

「少し打ち込まれても交代せずに粘り強く使い続けた。“立ち上がりは悪いが、汗をかけばかくほど調子が上がる”と評された自身の経験に基づいているのでしょう。かといって、酷使するような使い方もしなかった。まあ、現役時代の工藤さんも“ここが痛い”“あそこが痛い”と頻繁に休養していたクチでしたけど」

 ソフトバンクといえば、年俸4億円でメジャーから出戻った松坂大輔(35)についても言及しないわけにはいかない。結局、彼は今季、一度も一軍に昇格することがなかったわけだが、

「それが良かった。もし中途半端に投げられていたら、監督も扱いに相当苦慮していたはずです」(同)

「“松坂だけが特別扱い”となって、投手陣ひいてはチーム全体に亀裂が生じていたかも。“給料泥棒”と罵られているけど、むしろ“陰の功労者”と讃えてはどうか」(先のデスク)

“何もしない”って、大事なのね。

週刊新潮 2015年9月24日菊咲月増大号掲載

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