10キロ痩せて出直しが始まった「渡辺喜美」の「借金」「夫人」「橋下徹」

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「政界再編」の議論が喧(かまびす)しい昨今。しかし、以前その中心にあった彼の名は、今では口の端(は)にも上らなくなった。渡辺喜美・元金融担当大臣(63)。昨年、8億円にも上る借金問題が発覚し、総選挙で落選に追い込まれた喜美氏は、この9月5日、BSでひっそりと失職後初のテレビ出演を果たしていた。以下は、出直しを始めたご本人に改めて聞く「借金」「夫人」「橋下徹」――。

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顔はますます父・渡辺美智雄氏にそっくりに……

 以前、石原パパ(=慎太郎)がしみじみと言ってましたよ。「喜美くんなぁ、橋下くんは俺たちと違うんだよな。俺たちは人生かけて政治をやろうとしているじゃないか。だけど、橋下くんはいつ辞めちゃうかわかんねえんだよ」と。

 維新の党は分裂しかけていますが、私はいずれこうなると思っていたんです。橋下さんは、政治生命をかけて大阪都構想を実現しようとした。でも、住民投票であえなく負けた。それを復活させるには、首相官邸を動かすのが手っ取り早いと考えているのでしょう。

 でも、松野(頼久)さんや江田(憲司)さんは、次の選挙が大事なのかわかりませんが、「安倍政権なんてとんでもない」「民主党と連携するんだ」と言う。

 実はこれ、「みんなの党」が通ってきた道と同じなんです。「みんな」がキャスティングボートを握って以降、私はそれをもって安倍政権をテコの原理で動かし、政策を実現させようとしてきました。もともと金融緩和、積極財政だって、私が昔から言ってきたこと。怒られるかもしれませんが、「アベノミクス」は、実は「ナベノミクス」なんです。しかし、松野さんや江田さんは自民は反対、民主はOK。で、「みんな」は分裂した。

 橋下さんたちは、私とまったく同じ「純化路線」を取ろうとしているんでしょう。それはそれで結構ですが、問題は本気度。石原パパの言うように、彼がどこまで政治に本気であるかは、今ひとつわからないんです。

 かく言う私も今は「天下の素浪人」の身。それでも、戸別訪問をすることはありませんが、地元・栃木で冠婚葬祭に出たり、呼ばれれば講演にも伺ったりしているので、暇で困っているというわけではありません。

 ただ、議員時代と比べれば時間はある。で、落選してからダイエットを始めました。最初は歩くだけでしたが、後に筋トレと食事制限も始めてね。そうしたら、80キロあったのが8カ月で70キロ。ズボンのベルトは余り、サスペンダーで吊らないと落ちてしまう。自前ライザップに成功しました。主治医も血液検査の値がすべて正常値になったと驚いていましたよ。

 おかげさまで、妻ともホントに仲良くやっています。政治家の家庭って普通じゃない。365日、何かしら用事が入っています。落選して気が付いたのは、「カミさんには迷惑をかけてきたな」ということ。亭主の面倒を見て、3人の子どもの面倒も見て、並みのストレスじゃないですよ。片手では数えきれないくらい病気も持っていましたから。

 だから、今は少しは楽をさせてあげたいと、時には食事も作るし、買い物にも自分で行くようになりました。そうすると、今まで気付かなかったこともわかるようになったんです。例えば、ビールなんて糖質ゼロ、プリン体ゼロ、カロリーゼ口といろいろな種類があって、それが6本で575円とか、非常に安い。消費者は価格でモノを選ぶということがよくわかりました。消費税を上げてはいけないとあれほど言ってきたのは正しかったんですね。

■大反省は…

 やはり政治には先立つものが必要です。そのために、私は(DHCの)吉田(嘉明)会長からお金を借りて、それが大問題になった。

 でも、私は一貫して「法令に違反することはしていない」と述べてきましたし、そこはまったく変わっていません。検察も「みんなの党」の第三者検証委員会も、「パンツの中まで見せろ」と言わんばかりに、預金通帳はじめありとあらゆるものを持っていった。それでも、不起訴、法令違反はなしという結論になったんです。

 数十名の候補者を立てるとなれば、供託金だけでも相当な額になります。でも、「天は二物を与えず」で、政策能力があって見てくれや弁舌が爽やかでも、金はないというのが世の常です。全部自前で用意しろ、となれば良い候補者は集まりません。いい弾を集めようとすればお金がかかります。その調達はすべて私。それが吉田会長からの8億円の借金でした。

 そうした性質の金でしたし、検察も第三者委員会も問題なしと言っている。だからこれは決着が付いた話だと思っています。ただ、政治的には有権者から「落選」というレッドカードで退場を命じられてしまいましたね。

 それと大反省は、「熊手」。使途を問われて咄嗟に答えてしまったけど、あんなこと言わなきゃ良かった。もう熊手の店には行きませんよ。

 今でも、支援者の方々は全国にいます。「うちの地域から国政に出ませんか?」みたいな話もある。手前味噌ですが、熱烈な支持者が結構いらっしゃるんです。

 ただ昨年、私が落選した最大の原因は「みんなの党」がなくなったこと。国政選挙で無所属は難しい。政党中心の仕組みである以上、プラットフォームを作らないと、先に行けないんです。

 ですから、今はまずそのための研究をしているところ。とは言え、もちろん政界は一寸先は闇で、いつ何時、何が起こるかはわかりません。チャンスが来れば確実にそれをゲットする。そうした心構えだけは、常に持ち続けているのです。

「ワイド特集 復活の日」より

週刊新潮 2015年9月17日号掲載

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