万博「ミラノ」の街娼に「蛍光ベスト」着用命令

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 南欧最大、人口500万超の都市圏を誇るイタリア・ミラノのとある一画。夜の帳(とばり)も下りる頃、大通りの道端で、ナマ足にハイヒール、超ミニスカート姿を並べて車を待つは世界最古の職業をなりわいとする女性たち。ほの暗い灯りの下に立つ彼女たちを、男たちは車のライトを頼りに選び出し、助手席に乗せると、いざ宵闇へと消えてゆく……。

「イタリアでは売春宿や売春の斡旋は違法なので、売春婦は個人営業なのです」

 とは、イタリア在住の女性ジャーナリスト。

「電話やインターネットで“営業”しない女性は通りで客を待つため、街娼を至るところで目にします。私も夜、友人の車を待っていて勘違いされたことがある」

 そう憤慨する女性ジャーナリスト氏の声が届いたのか、ミラノ南部の街スピーノ・ダッダが奇妙な条例を発表した。蛍光ベストを着用しない売春婦には最高500ユーロ(約6万9000円)の罰金を科すというのだ。

 暗がりに立つ彼女たちの安全が表向きの理由だが、背景にあるのはミラノ万博。食をテーマに5月から開催されている万博のおかげで、街は空前の売春婦ラッシュだという。彼女らをなんとか追い出したいのである。

「万博は10月末の閉会までに2000万人の来場が予想されていますが、その客を見込んで1万5000人もの売春婦がミラノ圏に押し寄せました。2012年の統計で、イタリア全土の売春婦が7万人だというのに、です」(同)

 ブルガリアやモロッコなど、東欧やアフリカの出身者が多いが、ブラジルや中国などからも来ており、売春婦の国籍は50以上という。

「地元では、これじゃ万博(EXPO)じゃなく“性の万博(SEXPO)”だ、と自嘲気味です」(同)

 万博の盛況と、大和撫子の不参加を祈りたい――。

週刊新潮 2015年9月3号掲載

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