「反安倍」に活路を見つけたアイドル「制服向上委員会」の採算計画
その昔、共産党候補にバンザイ!とやってしまいテレビから干されたのは司会者の前田武彦氏だった。時代は移り、共産党本部で志位和夫委員長の話に聞き入るのはアイドルグループ『制服向上委員会』(SKi)である。テレビに背を向け「反安倍」を叫ぶ彼女たちのビジネスモデルとは。
***
結構稼いでます
7月18日、東京・代々木にある日本共産党本部では、党創立93周年の記念講演会が開かれていた。会場を埋めた党幹部や古参党員を前に熱弁を振るう志位委員長。そこに交じって熱心にメモを取る5人の少女たちがいる。アイドルグループ『制服向上委員会』のメンバーだ。
出席したアイドルの1人、木梨夏菜さんが言う。
「私たちが座ったのは関係者席みたいな……よく分からないんですが、すごく前の席でした。志位さんが言っていたことで印象的だったのは、集団的自衛権にしても、安保法案にしても違憲だといっぱい言っていたことです!」
「反安倍」「反原発」を歌う彼女たちだけに、共産党もこれは使えると踏んだのだろうか。メンバーが講演に聞き入る様子は小池晃副委員長のツイッターに掲載され、「赤旗」にも紹介されたのである。
彼女たちのマネージャーによると、
「共産党をはじめ色んな団体からよく招待状が来るのですが、その中からスケジュールが合うものだけ行っています。9人いるメンバーのうち5人が参加したのは、当日集まれたのが彼女たちだったから。この日は講演会の後、レッスンをやって『SEALDs(反安保法案のデモを行う学生団体)の勉強会にも参加しています」
こんな調子だから、AKB48のようにアイドル番組に呼ばれることもないし、もちろんCMの話もあるはずがない。どうやって稼いでいるのだろうか。
■与党にも呼ばれたい
彼女たちが所属する「アイドルジャパンレコード」の高橋廣行社長が言う。
「(SKiの)収入としては、コンサートやCDなどいろいろあります。『制服の日』というコンサートは月4公演やることもあり、1日に2~3回やる。このほかにファンクラブのイベントとしてメンバー個人のバースデーイベントや、浴衣撮影会、制服撮影会もあります」
テレビやCMの仕事がないこと以外は、最近のアイドルがやっていそうなことばかりだが、高いチケットだと8500円とそれなりのお値段である。話題になったこともあって、最近はどのイベントも満杯なのだとか。だから、政治団体からのギャラはあてにしていない。
「憲法九条の集会などにゲストとして呼ばれたときは報酬がありますが、デモに参加したり講演会を聞きに行くのはボランティアですね」(同)
ちなみに、この日の講演会もノーギャラ。
アイドル評論家の堀越日出夫氏が言う。
「テレビに出ないアイドルにとっては、ファンといかにビジネスするのかが大事です。たとえば『ももクロ』も、テレビの露出は少ないけど国立競技場を満杯に出来る。今のところSKiは他の芸能人がマネしないところで話題をさらっている。競争のないニッチなマーケットを狙っているのです」
ところで彼女たち、「反安倍」を歌っていても「反体制」ではないのだとか。講演会に参加していたもう1人のメンバー・西野莉奈さんが言うのだ。
「私たちは共産党のイベントに出たから左だと言われるんですけど、与党の方が招待してくださったらぜひ行きたい。勉強になりますから!」
どうします? 安倍総理。