都心から気軽に行ける「秘境」 旅行ライターが明かす絶景旅行ガイド 静岡編
旅行ライターの高田京子氏がオススメする「気軽に行ける秘境」ガイド。北海道、本州北部に続き、今回は都心からもアクセスしやすい静岡県の秘境を紹介してもらおう。
■鉄橋の上を歩く
静岡県にある「気楽な秘境」は、なにも山や海に足を運ばずとも列車に乗り込むだけで堪能することが可能だ。それが秘境駅である。大井川鐵道井川線(南アルプスあぷとライン)の奥大井湖上駅[写真]からは、想像を絶する風景を目の当たりにできる。
[写真(1)]奥大井湖上駅(静岡県)
ダム建設によって生まれた接岨(せっそ)湖の上を横断する鉄橋の途中、湖に突き出た尾根の突端にポツンと駅があり、周囲には車道も人家もない。乗り降りするのは絶景目当ての観光客だけ。さらに驚くのは鉄橋の上、線路脇を歩くことができるのだ。川根本町役場商工観光課は、
「駅の両側に延びる鉄橋の高さは湖面から30~40メートルでしょうか。鉄橋の東側部分はハイキングコースの一部なので歩いて渡れますし、その先には接岨湖と駅を一望できるビューポイントもございます」
と説明する。また、大井川鐵道広報もビュースポットを教えてくれた。
「夏の間は駅の裏の『レイクコテージ奥大井』という休憩スペースが利用でき、接岨湖を一望できる展望台があります」
行き方は、JR東海道本線金谷駅から大井川鐵道に乗り換え、さらに千頭(せんず)駅で井川線に乗り継ぎ、奥大井湖上駅まで所要約1時間10分。井川線は大井川上流部の渓谷の中をのんびり走る森林鉄道で、千頭から井川までの25・5キロを結ぶ(現在は崖崩れの影響で接岨峡温泉駅まで)。もともとは水力発電所建設のための資材運搬用鉄道として建設された路線だ。
「新金谷駅から千頭までは1日3本程度、全席指定のSL」が運行しており、夏休みでも席は余裕がある。前日昼までに駅弁も併せてご予約いただければ、SLのお座席に駅弁をご用意いたします」(同)
絶景ついでに温泉を楽しめるのも「大井川プラン」の魅力だ。井川線の奥泉駅からバスで約30分、南アルプスの登山口、秘境の湯として知られる寸又峡(すまたきょう)温泉には8軒の宿と町営露天風呂「美女づくりの湯」がある。
「温泉民宿・深山」では、「13日以外はまだいくらか余裕があります。総檜造りの温泉で寛(くつろ)いでください」
さらに、「寸又峡温泉・光(てかり)山荘」も、
「8月中の土日もまだ空きはあります。お盆中は1泊2食付き1万950円からで、山菜メインのお料理ですが、夏でも鴨鍋が好評です」
旅行ライター 高田京子