夏休みは空き巣の一番の稼ぎ時! 伝説の「泥棒刑事」が警告する「あなたの自宅は隙だらけ」――小川泰平(元神奈川県警刑事・犯罪ジャーナリスト)

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■泥棒がリスクを感じる家

【1、玄関には種類の異なる二つの鍵をつける】

 マンション住まいでも補助錠をつけているご家庭は多いと思います。ただ、同じ種類の鍵が二つでは意味がありません。たとえば私の自宅では、表面に深さや大きさが異なる窪みを彫ったディンプルキーと、両側にギザギザの山があるロータリーシリンダー錠を使っています。

 複製が難しいとされるディンプルキーですら数分で開錠してしまう空き巣はいますし、シリンダー錠も同様です。しかし、どちらの鍵も開けることのできる泥棒は、私の長いキャリアを振り返っても存在しません。

【2、トイレや風呂場の窓の格子も要注意】

 換気のために開けたままにしているトイレや風呂場の小窓も、空き巣の侵入経路になります。ベランダの窓より造りが甘いので、ドライバーを差し込む隙間があれば格子ごと外されるケースもある。窓をこまめに閉めることはもちろん、格子のネジ山を叩き潰したり、瞬間接着剤で塞ぐことも立派な空き巣対策です。

【3、防犯砂利を敷く】

 一軒家の場合は、玄関前や庭先に防犯砂利を敷くことをお勧めします。最近の製品は、ゴム底のスニーカーで踏みしめても大きな音がするので、「音」に敏感な泥棒はそれだけで萎縮する。家の裏手にある狭い通路に敷くのも効果的です。彼らにとっては通り道ですから。

【4、防犯ライトやテレビのタイマー機能を活用】

 これは「光」を使った防犯対策です。泥棒はとにかく、自分の姿が露わになることを避けたい。その意味で、人の動きを感知して点灯する防犯ライトは効果的です。また、夏休みに旅行を計画中の方に使ってほしいのは、テレビのオンタイマー機能。辺りが暗くなる19時頃に、テレビが自動的に点くよう設定してください。カーテン越しにチラチラと明かりが見えるだけで、“誰かいるのかも……”と泥棒を疑心暗鬼にさせます。

【5、窓ガラスに防犯フィルムと、補助錠をつける】

 最大の侵入経路は、やはり窓です。防犯フィルムを1枚貼ることで、格段に窓ガラスを割るのが難しくなり、無理に割れば大きな音を立てます。A4サイズで構わないので、鍵の周囲に内側から貼りつけましょう。

 さらに、窓の上の方には補助錠をつける。庭やベランダと、室内には段差があります。そのため、室内側の窓の上部に補助錠をつけると、外から窓を破ろうとする泥棒の手が届かない。しかも、彼らは人目を気にして、立ち上がって作業することを極端に嫌う。補助錠の存在に気付くと、いかに“ガラス破り”の達人でも舌打ちせざるを得ません。

 泥棒の3原則は、「気づかれない、見つからない、捕まらない」です。つまり、彼らは通報され、逮捕されるリスクを何より恐れている。ですから、“この豪邸には多額の現金がある”という確実な情報でもない限り、ターゲットの家には固執しません。防犯ライトや補助錠をつけている家を前にすると、彼らは室内にも仕掛けがありそうだと判断し、“この家はやめておこう”と考える。

 結局、泥棒にリスクを感じさせることこそが最大の防犯対策なのです。

小川泰平(元神奈川県警刑事・犯罪ジャーナリスト)

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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