夏休みは空き巣の一番の稼ぎ時! 伝説の「泥棒刑事」が警告する「あなたの自宅は隙だらけ」――小川泰平(元神奈川県警刑事・犯罪ジャーナリスト)
■ターゲットはヘソクリ
室内に侵入してからの空き巣の“仕事”は極めて迅速です。彼らが一軒の物色にかける時間は概ね5分。現場に長居しないのは、帰宅した住人との鉢合わせを避けるためですが、同時に、5分間あれば目的を達成できることも意味します。
お目当ては、持ち運びやすい現金や貴金属。ただ、ATMが普及した昨今、自宅に多額の現金を置いているご家庭は少ないと思います。そこで彼らは、子供の塾の月謝や光熱費の支払いのため手元に置いている現金を重点的に探します。
空き巣が最初に物色するのはタンスやドレッサー、仏壇が大半です。洋服ダンスはいちいち開け閉めする必要がないよう、一番下の段から順番に開け、きれいに並べられた下着の底まで手を突っ込む。仏壇も裏側まで念入りに調べ、冷蔵庫の中にまで目を光らせます。
続くターゲットはヘソクリです。ヘソクリは空き巣ではなく、奥さんや旦那さんにバレない場所に隠しますよね。しかも、一度隠すと、無くなっていないか気になるのが人間の心理。そのせいで自分が確認しやすい隠し場所を選んでしまう。奥さんの場合はキッチンにある食器棚の引き出し、旦那さんであれば書斎の本棚の端っこに、封筒に入れた現金を隠していることが多い。結局、ヘソクリは防犯対策とは呼べません。
基本的にはご家庭に貴重品を置かないのが正しい判断ですが、金庫に保管するのも一案です。しかし、いま国内に流通している製品はほとんどが“耐火金庫”。文字通り、火災時に財産を焼失から守ることが目的なので、熟練の金庫破りには通用しませんし、抱えて持ち去られるケースもある。
唯一、「クマヒラ」というセキュリティ企業の“防盗金庫”は、バールやハンマーを寄せ付けず、ガスバーナーでの“焼き切り”にも強い。小型でも300~400キロの重量があるので運び出すこともできません。ただ、価格は安くても数十万円はしますね。
当然ながら、高価な金庫を購入して、家中の窓を防犯ガラスに張り替え、監視カメラを24時間回し、警備員を配置すれば防犯対策は万全ですが、一般家庭がそこまで完璧を求めることはできません。とはいえ、もっと簡単な方法で、泥棒を寄せつけないための対策は講じられます。
泥棒にとって最大の敵は「音・光・目」です。目とは“人目につくこと”で、防犯カメラも含まれます。これを逆手に取って私が考案した“防犯5カ条”を参考にしてください。
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