「ドクター秋津」のがんになるのはどっち? PART2――秋津壽男(総合内科専門医・秋津医院院長)
「敵を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず」――。孫子の兵法の教え同様、難敵がんも、正しい知識で臨めば、その9割は予防できる! 気鋭の内科医、秋津壽男(としお)医師(61)はこう断言する。二者択一の設問を通じ啓発するドクター秋津の「がんになるのはどっち?」第2弾!
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「日頃から正しい予防法を実践すれば、がんの9割が防げるなんて、全く知りませんでした」
「週刊新潮」の先週号で、私がお伝えした特集記事「がんになるのはどっち?」を読まれた方々から、こういう声が寄せられました。がんも生活習慣病の一つですから、生活習慣や食事などに気を付け、定期的にがん検診を受診していれば、その9割は予防できると断言できます。今週も二者択一の設問形式で話を進め、先週号でお伝えしきれなかった、がん予防の正しい知識を伝授致しましょう。
7月20日の「海の日」を境に、日本各地で梅雨明けが宣言されました。猛暑日に見舞われる地域も多く、人間の肌にとって大敵の紫外線レベルも、相当高くなっています。そこで、まずはこの質問から始めます。
【Q1 紫外線防止で「日傘をさす人」と「日焼け止めを塗る人」、皮膚がんになるのはどっち?】
「太陽からの紫外線を浴びすぎると、皮膚がんになる恐れがある」
これは正しい情報です。紫外線を浴びると、皮膚の細胞の遺伝子が傷つけられる。そうした遺伝子の中に生じた「チミンダイマー」という物質が、細胞を異形化し、皮膚がんの大きな原因になるとされています。
くわえて、「肌が黒く焼ける」「メラニンが増え、シミやそばかすができる」といった美容面での問題点を気にされる女性も多いでしょう。そういう方たちは、日傘をさしたり、日焼け止めクリームを塗って、紫外線対策に余念がない。
しかし、後者の方策は感心できません。なぜなら、ほとんどの日焼け止めクリームには、それ自体に皮膚がんを引き起こす成分「酸化チタン」が含まれているからです。これは、紫外線に反応して、体にとって猛毒である活性酸素を発生させます。活性酸素を出すものが直接、塗りこめられるのですから、皮膚の細胞はたまったものではありません。WHOも、酸化チタンについて「発がん性の可能性がある」と警告しています。またナノ粒子となった「酸化亜鉛」も含まれ、これもDNAを傷つけ、発がんの危険性が指摘されている。最近では、こういう問題が分かってきたことから、化粧品メーカーでも酸化チタンなど化学化合物を使用しないUVケア製品を発売するようになってきました。どういう成分が使われているのか、商品を見極めて購入する必要があります。
2問目は、がんを予防してくれる抗酸化作用を持つ食品についての質問です。
【Q2 「剥きピーナッツ」と「殻付き落花生」、がんになるのはどっち?】
ピーナッツをはじめ、アーモンドやカシューナッツ、クルミなどのナッツ類は体に良い。事実、ナッツを好む人は、がんと心臓病による死亡率が減少するという調査結果があります。これは、ピーナッツなどに豊富に含まれるビタミンEに、活性酸素を除去する「抗酸化作用」があるからです。このビタミンEには肌の老化を防止する若返り効果も期待できます。さらには、腸内の善玉菌、ビフィズス菌を増やすオリゴ糖も含まれ、がんなどの病気に対する免疫力をアップしてくれる。長寿食と呼ばれる所以(ゆえん)です。
いいこと尽くめのようですが、ただ気を付けないといけない盲点もあります。それは、口に入れるまでの保存状態。実は、それによっては、ピーナッツが逆に発がんリスクを高めてしまうケースがあるのです。
というのも、ナッツ類にはカビが付着しやすいから。このカビには、「アフラトキシン」という非常に強力な発がん物質が含まれているのです。普通、カビの生えた食品を口にすることはありませんが、厄介なことに、ピーナッツのカビは極めて見つけにくい。
そこで、ピーナッツを食べるなら、殻が付いたままの「落花生」を購入することをお勧めします。カビが生える危険性が減少するからです。それでも殻を剥くのが面倒で、剥きピーナッツがいいという人は、袋に小分けになったものを買い、開封したら、すぐ食べ切るようにすると良いでしょう。
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