【新国立競技場問題】世界中にアンビルトが喧伝されて「ザハ女史」の復讐

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 イラクはイスラム教の国。同害報復の国である。ザハ・ハディド女史(64)は、そのイラク出身。となれば、怖いのは、「目には目を!」とばかりに、日本に仕掛けてくる“復讐劇”だが……。

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 最大で100億円――。

 さる官邸関係者によれば、政府はザハ氏が法的手段を取った場合、被る損害額をそう見立てているという。

 積算根拠は後述するとして、そのザハ氏に「アンビルトの女王」なる異名があるのはよく知られた話だ。

 これまであまりに奇抜すぎるデザインのため、コンペに通っても、その通りに建設されない建物は数多。新国立もその系譜に連なってしまったが、これまでとはワケが違うと言うのは、さる建築家である。

「世界が注目するオリンピックスタジアムのデザインに決まり、大々的に報じられたのに、『生ガキ』だ何だと言われて契約を破棄されてしまった。日本によって『アンビルト』の汚名が世界中に喧伝されてしまったことになるのです」

 しかも、だ。

「政府は森さんにはあれほど気を遣ったのに、肝心のザハには白紙撤回について事前に何の連絡もしませんでした。礼儀知らずと言われても弁明のしようがありません」(先の官邸関係者)

 現状、ザハ氏の事務所は本件につき、HPに簡単な声明を載せたのみだが、その腸(はらわた)は煮えくり返っていることが容易に想像できるのだ。

■総工費の2%

 では一体、ザハ氏はどんな手段が取れるのか?

「違約金については契約上、盛り込まれていません」

 とは、文科省の担当記者。文科省は新国立の事業主体・日本スポーツ振興センター(JSC)の所管官庁である。

「そこで政府が恐れているのは損害賠償請求。ザハに本来、支払うべきだったデザイン監修料を請求される可能性があるのです」

 JSC側は、この額について明らかにしていないが、先の渡辺邦夫氏は言う。

「一般にデザイン監修料は総工費の2%が相場です。新国立の場合、総工費が2520億円とすれば、約50億円がザハに支払われる予定だったと推測できます」

 文科省はこのうち、約13億円を既にザハ氏に支払ったことは明らかにしている。すなわち、ザハ氏が請求できるのは、残りの約37億円だ。

 加えて、構造デザイナーで東京電機大学教授の今川憲英氏が言うには、

「これで世界における彼女の評判が失墜する可能性がある。建築家としての名誉を著しく傷つけられたと、慰謝料を請求されてもおかしくありません」

 海外での訴訟の損害賠償金が、時に日本では想像もつかない額になることは知られている。こうして考えうる最悪のケースを足していけば、自ずと冒頭の金額になるというワケである。

 ちなみに、文科省にとって100億円は「1年で小中学校の教職員を新たに4700人雇える金額」(前出・担当記者)。これをドブに捨てることになるかもしれないのだから、罪の重さは計り知れないと言えよう。

「特集 新聞は報じなかった白紙撤回の水面下! 法螺と二枚舌の『新国立競技場』」より

週刊新潮 2015年7月30日号掲載

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