まさかの「ど根性ガエル」大好評で夏ドラ3連勝の「日テレ」戦略

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 キムタクや堺雅人ならともかく、平面ガエルの“ピョン吉”に苦杯を嘗めるなんて……。他局の編成担当の嘆息を尻目に、今夏の“ドラマダービー”は日テレのひとり勝ちムードが漂う。まさかの実写化や、禁断の炎上商法でヒットを飛ばす掟破りの戦略とは――。

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 その好調ぶりは数字を見れば明らか。7月19日時点で、なんと日テレの連ドラが平均視聴率トップ3を押さえているのだ。

 筆頭格は、杏が主演する『花咲舞が黙ってない』。このところ大人気の池井戸潤原作の続編で、初回は14・7%と、期待通りの滑り出しを見せた。

 だが、特筆すべきは、放映前から賛否両論を巻き起こした2作品の大健闘だろう。

 芸能担当記者も驚きを隠せない。

「単なるイロモノと目されていた『ど根性ガエル』が初回に13・1%という高視聴率を叩き出しましたからね。『デスノート』に至っては、前クールの目玉だったキムタク主演の『アイムホーム』の初回を上回る16・9%。初回視聴率としては今年最高の数字です」

 しかし、映画版も記憶に新しい『デスノート』はまだしも、『ど根性ガエル』は初めてのアニメ化から40年以上が経過している。“奇策”とはいえ、あまりにリスキーな賭けに思えたのだが、

「今回はうちの戦略がハマりましたね」

 と、ほくそ笑むのは日テレ幹部だ。

「“月9”に代表される、キャスティングありきの王道ドラマから客足が遠ざかっているのは事実。そこでうちは、テレビ離れが顕著な20~30代前半のF1層と呼ばれる女性を敢えてターゲットから外してみた。その象徴が『ど根性ガエル』で、初めてピョン吉に触れる小中学生と、原作に思い入れのある40~50代の親世代に狙いを絞っています」

■批判は想定内

 ちなみに、ドラマ版は原作の16年後が舞台で、松山ケンイチ演じる“ひろし”は30歳のニート、前田敦子はバツイチ出戻りの“京子ちゃん”役だ。

 大河ドラマ『平清盛』を外してから、松ケンは子供の通院にまで付き添う“主夫”状態にあったが、今回のひろし役で吹っ切れた感がある。CG合成のピョン吉には違和感がなく、声優に起用された満島ひかりのべらんめえ口調も好評。ドタバタコメディ風の脚本を『ちゅらさん』で名を馳せた岡田惠和が手掛けるなど、手堅い一面も覗かせる。

 一方の『デスノート』は、

「主人公のキャラクターを天才青年から、アイドルおたくの平凡な大学生に変更しました。原作ファンからの批判は想定内で、放映に先立って情報を小出しにしていた番組プロデューサーのツイッターは見事に炎上。結果、高視聴率に結びついたので作戦勝ちです。また、日曜22時半からの『デスノート』の枠は、『世界の果てまでイッテQ!』や『行列のできる法律相談所』といった、数字の取れるバラエティ番組から引き続き観てもらえる。前クールからこのドラマ枠を設けたことも功を奏しています」(同)

 この夏、他局を“怪談”ばりに震え上がらせたのは、Tシャツに取り憑いた平面ガエルの大活躍だった。

「ワイド特集 真昼の怪談」より

週刊新潮 2015年7月30日号掲載

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