【新国立競技場問題】「内閣支持率の神様」に捧げられた太めのスケープゴート!? ラストボス「森喜朗」元総理の息の根を止めたA4メモ

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 かつては100キロを超えていたという巨体に、現職大臣でも萎縮する存在感。そんな御仁がスケープゴートにされたのは、「内閣支持率」が滝のように落ち込んでいるからだ。森喜朗元総理(78)が固執した「新国立競技場」の計画を振り出しに戻すため、安倍総理が突きつけたA4判のメモとは。

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「白紙に戻し、ゼロベースで見直します」

 7月17日、安倍総理は、記者会見で新国立競技場の建設計画を最初からやり直すことを明らかにした。2520億円という巨額の建設費にやっとブレーキがかかったのだ。

 誰もが問題だと知っていながら、ここまで費用が膨らんだのは、五輪のメイン会場なのに2019年のラグビーW杯に間に合わせようとしたこと。その誘致に尽力し、新国立競技場での開催にこだわる森元総理(2020年東京五輪組織委員長)の存在があったからだ。総理の座を退いて14年、今もスポーツ行政に絶大な影響力を持つ森氏に引導を渡さないことには計画の白紙はなかったと言っていい。話は6月上旬にさかのぼる。

 首相官邸の関係者が言う。

「安倍総理は、6月2日ごろから下村文科相に新国立競技場の再検討を指示していました。しかし、返ってくるのは“不可能”という答えばかり。それから約2週間後の6月半ば、費用が2520億円になると首相官邸に伝えられたのです(発表は6月29日)。しかも、最終的に3000億円を突破しそうだというショッキングな情報だった」

 文科省の説明は、再コンペからやり直すと約61カ月かかる。もし、強行すれば東京五輪にも間に合わないというものだった。すでに、安保法案の審議の紛糾で、内閣支持率は41%(NNN調査)にまで落ちていた。安倍総理は国交省などを入れたタスクフォースを官邸内に作り、文科省を外した形で再検討を指示する。

■「申し訳ない」

 7月7日、批判が集まるなか2520億円の「ザハ案」が正式に承認される。衆院で建設計画の見直しを求めた「次世代の党」幹事長の松沢成文氏が言う。

「2日後の7月9日に、安倍総理と菅官房長官を交え都内のホテルで会食をしたのです。そこで私は“新国立競技場のプランを変えるか、それが無理ならラグビーW杯は違う会場でやるべきです。そうでないと五輪もW杯も失敗しますよ”と進言しました。しかし、安倍さんは“文科省は今のままでもできると言い張っているんだ”と言うのです」

 官邸に衝撃が走ったのは7月14日のこと。内閣支持率が39%に落ち込み、新国立競技場の計画には71%が反対していると朝日新聞が報じたのだ。15日の安保法案の強行採決で、さらなる支持率低下は避けられない。もはや待ったなしだった。

 7月16日、東京・赤坂の料亭『津やま』で清和会(安倍派)の会合が開かれる。出席したのは安倍総理や森氏など7人。名目は亡くなった町村信孝氏を偲ぶという集まりだが、政治ジャーナリストの山村明義氏によれば、

「誰か1人が森氏を説得するのは難しい。だから、全員で森氏に翻意を促したのです。それも、森氏が“折れた”のではなく、総理が自らの“一存”で、白紙化を決めたことにするからと、話したそうです」

 切り札は、安倍総理が作らせた見直し案だった。この日の会合の最中にも官邸では作業が続けられ、深夜になってようやくペーパーが完成する。W杯を他の会場に移すことで、竣工は五輪にぎりぎり間に合う。A4の紙にはそう記されていた。そして、翌日午後2時、首相官邸で安倍総理、森氏、下村文科相、遠藤五輪担当相で会談が持たれる。

「この場では安倍総理と森氏が約30分、下村氏と遠藤氏を交えてさらに1時間の話し合いが持たれました。安倍総理はA4のメモを示すと、ひたすら“申し訳ない”と謝るばかりだったそうです」(先述の首相官邸関係者)

 会談後、森氏は、

〈たった2500億円も出せなかったのか〉

〈(ザハ案は)生ガキの垂れたのみたいで嫌だった〉

 と憎まれ口をきくのが精一杯。かくて「支持率」の前に、「新国立」でのW杯開催はシンキロウのごとく消えたのである。

「特集 新聞は報じなかった白紙撤回の水面下! 法螺と二枚舌の『新国立競技場』」より

週刊新潮 2015年7月30日号掲載

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