折から「小泉進次郞」が「大島衆院議長」に奨めた本

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 その顔つきと、他党との交渉で義理人情を重んじることから、付いたあだ名は「悪代官」と「握りの大島」。そんな大島理森衆院議長(68)は、安全保障関連法案の採決を終えるまで眉間に皺を寄せていたが、笑顔が戻った一瞬があるという。悪代官の相好を崩させたのは越後屋ではなく、小泉進次郎代議士(34)だった。

 7月16日に安保関連法案が衆院本会議で可決される数日前、大島衆院議長は知人を前に国会運営の難しさを吐露したという。その会合の中で、突然笑顔でこう話し始めたのである。

「先日、進次郎がワシのところに来てくれたんだ」

 4月まで自民党の東日本大震災復興加速化本部の本部長を務めていた大島氏は、復興政務官の進次郎クンとは親しい間柄なのだ。続けて、

「進次郎は、よう本を読んでおるな。実は、ワシに“これ面白いから、息抜きに読んでください”と、立憲主義と欽ちゃんの本を2冊置いて行ってくれた」

 欽ちゃんの本とは、4月に発売されたコメディアン・萩本欽一氏の『ばんざい またね』(ポプラ社)。昨年、“引退宣言”をした欽ちゃんが、その真相から大学受験への挑戦を綴った人生論だ。大島氏は、まるで出来のいい子供か孫の話をするかのように、

「進次郎は、週2冊は本を読んどるらしいぞ。しかも小説から、エッセイ、政治論と幅広い。彼に“彼女はできんのか”と聞いたら、“本を読んでいて、そんな暇はないです”と笑っておった。お返しに本を上げたら喜んでおったぞ」

 大島氏がプレゼントした本は、長谷部恭男・早稲田大学教授の『法とは何か』(河出ブックス)だという。

 かくして、進次郎クンは本2冊で実力者の悪代官を後ろ楯としたのだ。

週刊新潮 2015年7月30日号掲載

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