人気者を揃えてNHK大河「真田丸」 視聴率稼ぎに奇手奇策がない
テレビ業界では、NHK大河ドラマは「オワコン」と揶揄されているそうだ。終わったコンテンツ――。かつて50%を稼いでいた視聴率が見る影もないから仕方ないけれど、そこで「みなさまのNHK」がとったのは、なりふり構わぬ「視聴率稼ぎ」大作戦!
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来年の大河ドラマ「真田丸」の出演者が発表されたのは7月10日のこと。
既に主人公の真田幸村役に堺雅人を当てることは公表済みであったが、残りのキャスティングについての記者会見が行われたのである。
これを受けて、
「いや、ものすごい共演陣を用意したものです」
と感嘆するのは、スポーツ紙の芸能担当デスク。
確かに、発表された名前を並べるだけで、その指摘も頷ける。
主役の周辺を挙げるだけでも、妻には長澤まさみが選ばれたし、初恋の相手は黒木華。兄役には大泉洋で、その妻は吉田羊が務める。
「黒木、吉田の2人は、演技派女優として最注目の存在。堺の父母役は草刈正雄と高畑淳子、祖母も草笛光子という強力なベテランが固めています」(同)
また、幸村の宿敵・徳川家康役には、大河で主役を務めたこともある内野聖陽が入っているし、他の敵役にも、近藤正臣、藤岡弘、西村雅彦、高嶋政伸といった、重量級が勢ぞろい。
先のデスクが、
「いつもは会見の場をギャグで壊すことで知られる大泉洋が、今回ばかりは“この豪華なキャストでは、さすがに緊張しています”と神妙に述べていた」
と言うのも、納得である。
■超保守的な…
もっとも、
「そこにNHKの“焦り”が透けて見えたような気がしました」
と嗤うのは、さる芸能レポーターである。
「現在、放映中の『花燃ゆ』は、時には視聴率1桁台を記録するほどの大惨敗を喫していますし、最後の平均視聴率20%超えだって、6年前に遡る。来年の大河こそは失敗できないぞ、という意気込みだけで選んだメンバーでしょう」
このレポーター氏によれば、今回の共演陣には、別の共通項もあるという。
「黒木、大泉、内野など、NHKの朝ドラや大河の経験者がやたらに多い。逆に言えば、自局で試して失敗のなかった要員を揃えたという、超保守的なキャスティングをしたということなのです」
と言うから、そこには幸村が得意とした奇手も奇策もなし。単に大物を集めて数字を稼ごうという代物と見ることも出来そうなのだ。
「これだけの役者を一度に集められるのは、製作費の潤沢なNHKだけ」
とは、芸能評論家の肥留間正明氏。
「しかし、ドラマの成功は製作費の多寡では決まりません。良い脚本とそれにあったキャスティングがどんぴしゃに嵌って初めて成功するのです。むろん、今回の脚本家の三谷幸喜は一流ですが、かつて大河では『新選組!』で失敗した経験もある。決して予断は許しません」
これでコケたら二度と立ち上がれないNHK大河の運命は如何に? 参考までに、主人公・真田幸村の最期は“討ち死に”でした――。