IQ190のアニオタ「ビットコイン」取引所社長が警視庁に睨まれている
「モウシワケ……ゴザイマシタ? アレ、ナンダッケ?」。昨年2月、片言の日本語で頭を下げた、小太りのフランス人をご記憶だろうか。仮想通貨「ビットコイン」の世界最大級の取引所であった「マウントゴックス社」。そのマルク・カルプレス社長(30)である。昨年の経営破綻以後はすっかり表に出なくなったが、実は、とんだ相手に睨まれていた。
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〈空き室 4LDK 280平方メートル 賃料180万円〉
東京は目黒区にあるタワーマンション。そのHPにはそんな案内が載っている。最上階に構えるこの部屋は、以前はカルプレス氏の居室であったが、今年に入って主は引き払い、今は借り手を探しているのだ。
彼は、どこに消えたのか。
カルプレス氏本人に、ブログを通じて尋ねてみると、程なく返信が来た。
「ぼくは今でも東京に住んでいるよ。まだITの仕事をしていて、毎日ラクじゃない。でもベストを尽くしているし、マウントゴックスの件の陰にいるハッカーたちがやがて見つかることを、今でも望んでいるよ」
しかし、本人が知ってか知らずか、その身辺が騒がしいものとなっているのもまた事実なのである。
■相次いだ質問
「警視庁によるビットコイン消失事件の捜査は、大詰めを迎えています」
と言うのは、全国紙の社会部デスク。
「担当は、捜査2課とサイバー犯罪対策課。近々、捜査に何らかの“決着”が下されるのは間違いなく、カルプレス自身への処分の有無が注目されている。そこで、各社とも周辺への取材を加速させているのです」
事件の発端は、昨年2月のことだった。突然、マウント社がビットコインの取引を停止し、破産手続きを開始。カルプレス社長は、同社のシステムから85万枚(時価465億円)のビットコインがハッキングされたのが原因、と述べ、債権者は実に約13万人にも上ったのだ。
ところが――。
「当初から、彼の説明に怪しさを感じていました」
とビットコインを利用していた人物が言う。
「債権者集会でも、社内の誰かが関係しているのでは、という“疑問”が前提の質問が相次ぎ、彼は答えに窮していました」
その後、マウント社は警視庁に電磁的記録を提出。7月には本格的な捜査が始まった。
「その中で、消失したビットコインのほとんどが外部からではなく、社内システムの不正操作によってなくなったことがわかりました。警視庁は慎重に捜査を進め、ようやく“結論”に至ったというワケです」(先のデスク)
そんなカルプレス氏のもう一つの顔は「アニメオタク」。2009年に来日したのも、ジブリなど日本アニメに憧れていたからだったという。一方で、「IQ190」との評判が立つくらい頭が切れ、「マウント社」を起こし、成長させては瞬く間に富を築いた。それからわずか5年での転落劇なのである。
当のカルプレス氏は自らの今後について、どう捉えているのか。
先の質問に続いて本人に「あなたが罪に問われる可能性はあるのか?」と尋ねてみた。しかし、今度は返信は来なかった。