大絶景に挑んだNHK「ドローン」遭難の顛末

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 東京から南へ約1000キロ離れた西之島。一昨年11月、突如として大量のマグマが噴き出して以降、今なお成長を続けている。

 その姿を、空から海から捉えようと挑むのが、皆様のNHKだ。海上保安庁が7月7日まで行った調査に同行し、測量船から噴煙の様子を撮影してニュース番組で報じたのである。

 だが、一方の空では人知れずトラブルが発生していた。

「特別番組のクルーが飛ばしたドローンが撮影中に墜落してしまったのです。現在、島の中心から半径4キロは立ち入り禁止で、海保の航空機も安全な高度からの撮影を余儀なくされていた。島を間近に捉えるため、ドローンで接近しようとしたのです」(NHK関係者)

 実は、以前にもNHKはドローンを使った西之島の撮影を試みた。昨年末、西之島から最も近い有人島の小笠原諸島・父島から、無人機を飛ばしていたのだ。

「刻一刻と変わる風向きを父島気象観測所に聞き、大量に流れる噴煙と重ならないよう飛行ルートを選ぶ必要がある。高度な技術を要します」(同)

 おまけに、父島から西之島へは片道約130キロ。噴石でプロペラが破損するアクシデントに遭いながらも、4K高精細カメラを積んだ無人機は、前人未到の大地を記録することに成功。今年1月2日放送の『日本列島誕生~大絶景に超低空で肉薄!~』で、その成果が披露されたのだ。

「番組では迫るマグマにも負けず、野鳥が生息している様子を捉えて反響を呼びました。この結果に気をよくした局は、続編をこの夏にも放送する予定で取材を続けていたのです」(同)

 確かに、NHKのホームページには、〈2015年夏続編放送予定〉との謳い文句が躍る。再び西之島の姿を見ることは叶わないのか。

「研究機関と共同で西之島の科学調査と撮影を行っており、そのために業務委託した撮影機との通信が途絶しました。しかるべき許可を得たうえで飛行を行い、事案発生直後に関係各所への報告を行いました。放送内容に変更はございません」(NHK広報局)

“プロジェクトX”は続く。

週刊新潮 2015年7月16日号 掲載

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