自民党「総裁選」幻の立候補者を「安倍総理」が気にする訳
安倍総理は、60日ルールを使い、9月半ばの安保法案成立を狙っている。しかし、そう簡単に事は進むのだろうか。例えば、9月の自民党総裁選に手を挙げる人が現れたなら……。それは、安倍総理にとっても想定外だという。
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「(総裁選に)出馬の意向がある人がいるなら、今年初めから準備している。今のところそんな話は聞かない」
安倍シンパの議員が今度の舌禍事件を起こす数日前、二階総務会長は、こう語っていた。
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「ある安倍側近は、総裁選が国会会期中に行われると、安倍さんにとって有利だと言っていた。つまり、会期末ギリギリまで重要な安保法案を審議している最中、身内が対立候補として手を挙げ、党内をゴタゴタさせることは普通しない、ということ。これが、他の議員への牽制になっています」
今のところ、総裁選は、9月8日告示、20日投開票との日程が有力だという。全国紙政治部デスクは、
「総裁選に出る人が現れるかどうかは、今後の世論調査の数字次第でしょう。今度の舌禍事件に加え、衆院で安保法案を自公で強行採決したら支持率低下は避けられない。仮に30%を切るような事態になれば、対抗馬が出る可能性もある」
そうなった場合、有力候補は誰か。
「内心やる気満々なのは野田聖子さんです。ただ、彼女は20人の推薦人を集められない可能性がある。むしろ、谷垣幹事長や石破地方創生担当相を推す声が出るでしょう」(同)
いずれにせよ、総裁選が行われることになれば、
「安倍さんの計算は狂う。安保法案成立の不確定要素となるでしょう」
とは、政治アナリストの伊藤惇夫氏。
「これまでの慣例に従えば、総裁選の期間中、国会はストップする。一切、審議ができなくなってしまうわけです。むろん、慣例を破れば、審議を同時進行することもできますが……。審議がストップする中、9月半ばに60日ルールを適用してよいのかどうか、議論が分かれるかもしれない」
先の政治部デスクの話。
「総裁選に勝利した後、60日ルールで再可決した方が無難でしょう。ただし、20日から23日までは連休。安倍さんは、28日からの国連総会に出席するため、25日には日本を出発しなくてはなりません。とすると、衆院再可決は、24日か25日ということになる」
まさに薄氷を踏む日程。総裁選は無投票で再選、余裕を持って60日ルールで再可決したい、というのが安倍総理の本音だ。
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