【安保法制】役に立つ寝業師がいないから自分で動く軍師「菅官房長官」
劉備には諸葛亮孔明、豊臣秀吉には黒田官兵衛がいたように、安倍総理は菅義偉官房長官に支えられている。2人が後世にも残る名コンビかどうかはともかく、政府与党の失態が続き、安保法制への世論の反発が強まるなか、菅氏の双肩にはいつにも増して重い負担が圧(の)し掛かっている。彼はこの難局を乗り越え、主君を守りきることができるのか。
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6月8日、安倍内閣の支持率が前回より5ポイント下がって53%になったとの読売新聞の世論調査結果を知った菅氏は記者団に、
「特定秘密保護法の時もこれくらい落ちたからね」
と、平静を装ってみせた。しかし、内心穏やかだったはずはない。なにしろ、先に別項で触れた6月4日の憲法審査会における「違憲騒動」を受け、その翌日の記者会見で彼は朝日新聞の記者に、いいようにやられてしまっていたのである。
「前日に菅さんが『“違憲じゃない”と言う著名な憲法学者もいっぱいいる』と反論していたことに対して、この日、朝日の記者が『合憲と判断する憲法学者とは、具体的には?』と質問。菅さんは『有識者(安保法制懇)にも憲法学者がいた』と答えたものの、『安保法制懇に憲法学者は1人だけ。“いっぱい”ではないのでは?』と畳みかけられ、しどろもどろになっていました」(政治部記者)
■自身が「国対」的な動き
政府のスポークスマンとしてボロを出さないことが売りの菅氏が、これだけ記者に追い込まれてしまっては面目丸潰れであろう。自分のせいではないのにと、菅氏がイライラを募らせていても無理からぬところで、事実、
「学者の人選をミスしたとして、船田さん(元・憲法審査会幹事)が自民党内から突き上げを食らっていますが、国会のあらゆるトラブルに対処すべきは国対委員長であり、その職にある佐藤(勉)さんの責任も重大です。ところが佐藤さんは、『彼(船田氏)には、その人選はやめておいたほうがいいと言ったんだけどね』と、責任逃れを決め込んでいます」(同)
菅氏から見れば船田氏がダメ同僚その1、佐藤氏はその2と言えよう。さらに、
「6月3日の衆院の平和安全法制特別委員会を、委員長の浜田さん(靖一・元防衛相)が委員長職権で強引に開催しようとしましたが、野党の反発を買い、結局、開くことができませんでした。衆院での法案審議は、マラソンでいえばまだ10キロ地点をようやく越えたばかりです。最終盤の『ここぞ』という時ならいざ知らず、この時点で野党を徒(いたずら)に怒らせてはと、菅さんはじめ官邸は呆れています」(官邸関係者)
ダメ同僚その3である。
このように、役に立つ寝業師が他にいないため、菅氏自身が「国対」的な動きをするハメになっていて、
「特別委員会の維新の理事である下地さん(幹郎・元郵政民営化担当相)を抱き込もうと、菅さんが直接、彼に接触している」(同)
それもこれも、全ては主君の安倍総理の願いである安保法制整備のためなのだが、次項で詳述するように、そこには「内閣支持率の壁」が立ち塞がっているのだった――。
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