官邸が知恵を絞る「会期“大幅”延長」の舞台ウラ

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 戦国武将は馬に乗って攻めることを「駆け」、手綱を引いて退却することを「引き」と言ったが、その「駆け引き」に手こずっているのは、安倍官邸。

 6月14日夜、安倍晋三総理と菅義偉官房長官は東京・虎ノ門ヒルズのホテルで、橋下徹大阪市長、松井一郎大阪府知事と会食をしていた。

「政界引退を表明した橋下さんが挨拶に来るというので、菅さんが夕食に誘ったのですが、官邸の狙いは安保関連法案への維新の協力を仰ぐとともに、民主に揺さ振りをかけること。野党の出方次第で、国会会期の延長幅は変わってきますからね。その場は意見交換で終わったものの、翌日に橋下さんがツイッターで民主を批判し、維新との親密さを演出することには成功した」(政治部デスク)

 その4日前、菅官房長官は衆参の国対幹部と国会会期の延長幅について協議していた。

 自民党関係者が言う。

「当初、官邸はお盆前までの延長を想定していたのですが、参院の国対幹部から、“お盆前までの延長では、安保関連法案の成立は保証できない”と言われてしまった。野党が日本年金機構の情報流出事件や憲法審査会での有識者の違憲発言を盾に攻勢を強める中、衆院で強行採決すれば、参院での審議が空転しかねないというわけ。これを受け、官邸は参院を当てにはできないと、“60日ルール”の適用まで視野に入れ始めた」

 参院で採決しないまま60日が経てば「否決」とみなされ、衆院の3分の2の賛成で成立させることができるルールだが、

「衆院通過を7月上旬と見込めば、9月上旬までの延長となる。8月中旬の安倍談話と重なるばかりか、総裁選の日程にも影響を及ぼしかねません。そのうえ、衆院での再可決を強行すれば、結局、政権のイメージに傷がつく。そこで、衆院での採決をできるだけ穏便に運ぼうと、維新を呼び水にして民主を軟化させようという算段です」(同)

 はて、馬の合う「大阪組」は手綱を握らせてくれるのやら――。

週刊新潮 2015年6月25日風待月増大号 掲載

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