バチカンが“人類の敗北”と怒った「同性婚」合法化

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 なにせ激怒なのである。

 5月22日、同性婚を認める憲法改正を国民投票に諮ったアイルランドは、賛成62%、反対38%の大差で同性婚合法化を決めた。1993年まで同性愛が犯罪だった国が、同性婚の法制化を国民投票で決めた世界初の国となったのだ。ところが、この興奮に冷や水を浴びせたのがローマ・カトリック教会の枢機卿だった。

「バチカン市国で法王に次ぐ地位にあるピエトロ・パロリン国務長官です。アイルランドは85%がカトリックで教会も政治的影響力がある。枢機卿は26日、ローマで会見を開き、“結果には非常に悲しんでいる。今回の合法化はキリスト教の原理の敗北というだけでなく、人類の敗北だ”と非難したのです」(国際部記者)

“人類の敗北”とはまた大層なことだが、

「キリスト教では同性愛は罪です」

 とは、宗教人類学者の植島啓司・京都造形芸大教授。

「同性愛に限らず、オーラルセックスや自慰など、生殖と関係ない性的な行為は否定されているのです」

 だがそのカトリック教会自体も、実は同性愛問題で揺れてきたのだという。

「内部に多数の同性愛者がいることが判明し、問題になりました。が、現ローマ法王フランシスコは“裁くつもりはない”と発言。また、昨年は同性愛を許容する案が総会に提出されましたが、保守派の反発で立ち消えに。それでも法王は“神は新しいことを恐れていない”とカトリック改革を呼びかけているのです」(同)

 バチカンもまた、変化のただ中にあるのだ。

週刊新潮 2015年6月11日号掲載

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