ほとほと演技が不安でも「松嶋菜々子」を選ぶTBS戦後70年ドラマ
第二次大戦中に激戦地へと赴き、夫を亡くした後、子供とも生き別れに――。TBSが8月に放映する「戦後70年記念作品」は、過酷な運命に翻弄され続けた“従軍看護婦”の物語である。時に重苦しい社会派ドラマの“顔”に選ばれたのは松嶋菜々子(41)だった。しかし、クランクイン直後から飛び交うのは、彼女の“演技力”を不安視する声ばかりなのだ。
***
もっとも、『半沢直樹』のスタッフが、『家政婦のミタ』(日テレ系)に主演した松嶋を迎えるのだから、TBSの鼻息が荒いのは頷ける話だろう。スポーツ紙の芸能デスクによれば、
「どちらも最高視聴率が40%を超えた大ヒット作ですからね。今回のドラマの制作陣には『半沢』のプロデューサーと監督に加え、『運命の人』を手掛けた脚本家まで名を連ねている。連ドラの不振に喘ぐTBSとしては、是が非でも成功させたい作品なんですよ」
しかし、そんな豪華布陣を見るにつけ、なおのこと首を傾げたくなるのは松嶋の抜擢である。
「日本軍の方針に矛盾を感じながらも、修羅場と化した野戦病院で奮闘する従軍看護婦を演じるわけですが、このヒロイン像を聞いて、すぐに松嶋を思い浮かべるのは難しいのではないでしょうか。172センチの長身で、颯爽としたキャリアウーマンやセレブを演じてきた彼女のイメージとのギャップが大きすぎます。それに、彼女は演技派というタイプではありません。いくら『ミタ』がヒットしたと言っても、常に無表情で得体の知れない家政婦役です。喜怒哀楽の演技力が評価されたわけではありません」(同)
■視聴率も下り坂
その点については、ライターの吉田潮氏も手厳しい。
「この作品では軍のやり方に激しく憤り、家族を失った辛さに悶え苦しむシーンもあると思います。ただ、彼女はこれまで一度も感情を剥き出しにするような演技をしたことがない。悲しみを表現するにも口を真一文字に結んで、一筋の涙を流すといった程度。そんなお上品な演技でこの難役はとてもこなせない」
実際、今回のヒロインに当確するまでには紆余曲折があったという。TBS関係者が内情を明かすには、
「1カ月間の中国ロケを敢行する大作なので、主演女優のキャスティングは2年以上前から進めていた。候補として、松たか子や仲間由紀恵といった演技派女優の名前が挙がったのも事実。ただ、松は昨年11月に妊娠を発表し、仲間も、3年前に亡くなった森光子さんが主演した舞台『放浪記』を今秋から引き継ぐことになって選考から外れてしまった」
そこでお鉢が回ってきたのが、『ミタ』でヒットを飛ばした松嶋だったという。
“視聴率40%タッグ”を売り文句にしたいTBSとしては、“実を捨てて名を取った”格好だ。
「ただ、数字の面でも松嶋が下り坂なのは否めない。松嶋がレギュラー出演する『救命病棟24時』シリーズは20%前後の平均視聴率を誇りましたが、彼女が主演した第5シリーズは過去最低の14・6%に甘んじました」(先の芸能デスク)
下馬評通りの演技で、久しぶりの主演ドラマがコケれば、“それミタことか!”と言われかねない。