「福原愛」が「リオ五輪」シングルスの切符を諦める14歳の卓球データ帳

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 世代交代は世の常、人の常。“卓球の申し子”だったはずの彼女もまた、大きな波には抗えない。リオ五輪の代表選考を控え、福原愛(26)が陥落寸前。その引導を渡しつつあるのは、14歳の新星だというのだ。

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 5月に発表された最新の世界ランクでは、石川佳純(22)が日本人最高の6位。続いて福原が8位。そして、11位ながら上位を見据えるのが、中学3年生の伊藤美誠(みま)(14)である。

 全国紙卓球担当記者の話。

「4月に中国で開かれた世界選手権で、福原は2回戦であっさり敗退しましたが、伊藤は福原を破った相手に勝つなどし、日本人で唯一ベスト8入り。負けはしたものの、準々決勝では前回王者で世界ランク3位の中国・李暁霞相手に2ゲーム先行し、目の色を変えさせたほどでした」

 5月17日にはベラルーシ・オープンを制し、ワールドツアー2勝目。さらに、

「19日から行われていたクロアチア・オープンでも、福原が2回戦で世界69位の選手に敗れたのに対し、伊藤はベスト4に。この時点ですでに、6月の発表を待たずして2人の順位が逆転したとみられます」(同)

 リオ五輪の代表選考には9月時点でのランクが用いられ、女子のシングルスは2枠。これまで04年のアテネから3大会連続で選ばれてきた福原にとっては崖っぷちどころか、

「残り3カ月で、もはや絶望と言えます」

 とは、スポーツ紙デスク。

 伊藤はU-21の試合にも出られるため、福原のほぼ倍のペースでポイントの加算が可能。さらに悪いことに、

「ちょうど福原も14歳の頃、世界選手権でベスト8に残って話題になりましたが、その時から弱点とされていたのがフォアハンドとフットワーク、そしてパワー不足でした。改善されないまま、ロンドン五輪の後には右ひじを手術したことで余計に強化が難しくなった。また昨年は左足小指を疲労骨折、フットワーク改善も望めなくなったのです」

 これまで試合を休んで弱点克服にあたってこなかった負けず嫌いの性格が、災いしたというのだ。

■100位までインプット

 一方の伊藤は、

「フットワークが軽く、試合の途中で、フォア主体からバックハンドヘと戦術を自在に変えられる幅広さを持ち合わせています」

 ジャーナリストの青柳雄介氏はこう指摘し、

「彼女は3歳から毎日6時間以上の練習をこなしてきましたが、お母さんが欠かさず練習日誌をつけてきた。これを本人も引き継いで、詳細な『研究ノート』を自ら作っているのです」

 分量にして、実にB5判の大学ノート40冊以上。これが強さの原点というわけだ。伊藤が通う関西卓球アカデミーの大内征夫チーフコーチによれば、

「美誠は初対戦の相手が多いので、世界ランク100位までの選手については、戦術やカーブの種類からラケットのラバーまで、すべてデータにして頭にインプットしています。普段は、パワーのある中国人男性トレーナーを相手に一本一本、考えながら打っている。だから練習は時間がかかりますが、そこで集中する分、試合にはリラックスして臨んでいますよ」

 早くも、エースの片鱗をうかがわせるのだ。

「ワイド特集 瀬戸際の歩き方」より

週刊新潮 2015年6月4日号掲載

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