日本初「春画展」に門戸を開いた「細川護煕」

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「義侠心で引き受けた」

 殿としても、元総理としても、似つかわしくない任侠溢るる台詞を発したのは細川護煕氏(77)。

 肥後熊本54万石の大名・細川家伝来の文化財を管理、展示する「永青文庫」(東京・目白)で、「春画展」を開催(9月19日より)することを発表したのである。春画といえば、江戸時代に男女のまぐわいを描いた浮世絵だが、なぜに“殿”が力一杯なのかといえば――。

「春画だけを集めた展覧会は国内初のことなのです。海外で開催されている春画展は非常に高い評価を受けており、日本での巡回を考えていたのですが、国内の美術館にはことごとく断られてしまった」

 とは春画展日本開催実行委員会のメンバーだ。

 2013年に大英博物館で開催された「春画―日本美術における性とたのしみ」は、同館史上初の年齢制限が設けられた展覧会だったが、9万人近くもの来場者が押し寄せた。彼らは日本人のスケベさに興味を持ったわけではなく、自由で大らか、ユーモア溢れる国民性に驚愕したという。

「春画は結合部のみを描いたものではなく、ユーモア、ウィットをもって文化、社会を描いた芸術なのです。ですが、公立美術館は苦情や批判を、財団法人は企業イメージの悪化を恐れて、腰が引けてしまった」(同)

 ならばうちで、と決断したのが殿だったのだ。だが、永青文庫は大きくはない。

「大英博物館では300点以上が展示されましたが、今回は前期・後期に分けて計120点を展示。大英博物館と共通のものは70点で、ほかに大名家が持っていた狩野派の春画も展示します」

 もちろん細川家の春画もある。殿が一肌脱いだのだ。

週刊新潮 2015年6月4日号掲載

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