官邸が頭を抱える「中谷防衛大臣」の耐えられない軽さ

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 安倍晋三総理とかけて「平和安全法制」と解きます――。

 中谷元(げん)防衛大臣(57)が5月22日、「今後の法整備により、隊員のリスクが増大することはない」と発言したことが波紋を呼んでいる。

 政治部デスクの話。

「安倍総理が20日の党首討論で民主党の岡田克也代表の質問を“リスクとは関わりはない”とかわしたのに、中谷さんは完全に否定してしまった。海外派遣の機会が増えれば、リスクも当然高まるわけで、野党は徹底追及の構え」

 だが、中谷大臣の“軽はずみ”は今に始まったことではない。たとえば19日の参院外交防衛委員会では、こんな一幕があった。野党メンバーによれば、

「その前日に安倍総理が参院本会議で、集団的自衛権の発動要件である“存立危機事態”に“電力不足によるライフラインの途絶”が含まれると発言したので、維新の小野次郎さんが“食糧も含まれるのか?”と聞いたんです。すると中谷さんは、まるで冷蔵庫が空になったら存立危機事態に該当するかのような答弁をした挙句、“ライフラインの途絶”には石油だけでなく天然ガスやウラニウム、プルトニウムといった他の電力源まで含まれると言い出し、収拾がつかなくなってしまった。中谷さんは元々、言い間違いによる議事録の訂正も多く、平和安全法制の答弁が持つのかどうか……」

 これに頭を抱えているのが、安倍官邸である。

 官邸関係者が言う。

「万が一、中谷さんの答弁で審議が空転するようなことになれば、安倍総理の目指す今国会中の成立が頓挫しかねません。それで官邸は、いざという時には小野寺五典元防衛大臣を起用する、という次善策まで用意しています。小野寺さんなら答弁能力に定評があり、たとえ内容を理解していなくても、そんなことはおくびにも出さずにこなせますからね」

 その心は、元(厳)にリスクを認めるべし――。

週刊新潮 2015年6月4日号掲載

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