滝沢沙織「星の形のキュウリと四角い大根が研究成果」/「土いじり」に回帰した「芸能人」の野菜作り
華やかな世界に生きる「芸能人」には土いじりへの回帰が増加中だ。
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私の実家は長野県で寿司屋を営んでいて、そのせいか幼い頃から食への関心が高かったんです。店の手伝いをしながら漬物などをつまみ食いしていましたから、魚より野菜への興味が強かったのかな。物心ついた頃から、いつか野菜を育ててみたいと思っていました。
高校を卒業後に上京した後も野菜作りへの意欲は衰えませんでしたが、芸能界で仕事をしているとなかなか時間が取れません。すると、そんな私の気持ちを察したのか、27歳の誕生日に父がプランター栽培のセットとミニトマトの苗をプレゼントしてくれたのです。だから、私の初めての野菜作りはプランター菜園。でも、この時は「土に苗を植えて水をやれば大丈夫だろう」というくらいの知識しかありませんでした。
植えた苗はほどなく何個も青い実をつけましたが、不思議なことに全然熟しない。植えたのは7月半ばで、8月中には収穫できるはずなので、調べてみると苗が「根詰まり」を起こしていることが分かりました。プランターの中にびっしり根が張った状態で、これでは一つの苗が吸収できる養分が少なくなるとのこと。納得して、それ以降は大きめのプランターに変えました。
この失敗に加えてもう一つ、私が本格的に野菜作りに取り組み始めるきっかけがありました。ちょっと恥ずかしい話ですが、畑を持つ地元の友人宅でバーベキューをしていた時に、「畑で玉ねぎを取ってきて」と頼まれたのに、私は間違って下仁田ねぎを引っこ抜いちゃった。野菜好きを自任してきた自分が、玉ねぎと長ねぎの育ち方の違いさえ知らないという事実には、強いショックを受けました。
■畑は研究室
野菜作りへの意欲が俄然高まったところに、タイミング良く千葉の知人から7畳ほどの広さの畑を借りられました。以来、野菜の育ち方を知ることを目標に、無農薬にこだわりつつ「失敗しても良い。全て手探りでやろう」という、ネットや本に頼らない自己流の野菜作りが始まりました。
最初はトマトやナス、ピーマン、トウガラシを植えましたが、「育ちが悪いなあ」なんて呑気に見ていました。すると、知人が「肥料はあげたの?」って言う。何も知らない私は「ええっ! 肥料って必要なの?」ってド素人丸出し。そんなレベルからのスタートだったんです。
だから、失敗の回数は数え切れません。でも、言うなれば畑は私が野菜を知るための“研究室”。失敗から学べば良いと割り切っているから気にしません。そういえば、小さな実を型に入れて四角い大根を作ったり、同じ手法で、輪切りにすると星型になるキュウリを育てる実験をしたこともありますよ。
学問的?なアプローチに始まった野菜作りも、今では美味しく食べることを大切にしています。感動したのは豆類で、収穫直後のソラマメは茹でるとプリップリ。スナックエンドウはシャキシャキとした食感の上、独特の甘みが口内に広がったのには驚かされました。
これまで作った野菜は200種類くらい。畑の管理は大変ですが、今年はテレビの番組で果物を作る企画がありました。さくらんぼやイチジク、ブドウなどに挑戦中で、これがお仕事だなんて、ますます“研究”が進んじゃいそうです。