「相武紗季」がコンプレックスを持っている本格派「実姉」の宝塚退団
大切なのはどの道を選ぶかより、選んだ道をどう生きるか――。BB(ベべ)の愛称で知られるフランスの女優、ブリジット・バルドーの至言である。しかし、これと決めた道を歩んだにせよ、挫折や劣等感に苛(さいな)まれ続けるのが人生というもの。それはCM女王として名を馳せた相武紗季(29)も同じだった。
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黒の紋付に緑の袴という“正装”で姿を現した金髪の美女は、目頭を拭いながら、集ったファンに頭を下げていた。今月10日の公演を最後に宝塚歌劇団を退団したのは星組の娘役・音花(おとはな)ゆり(31)。一般的な知名度は低いが、実は彼女こそ相武の姉なのだ。
とはいえ、20年来の宝塚ファンに言わせると、
「ころちゃん(音花の愛称)は、『相武紗季のお姉さん』なんて枕詞が必要ないほど、有名な娘役でしたよ。伸びのあるソプラノボイスでヅカファンを虜にした実力派の歌姫ですね」
舞台評論家の藤本真由氏も言う。
「宝塚の場合、入団から4~5年で辞めてしまう方も多いなか、音花さんは今年で15年目を迎える大ベテランでした。しかも、彼女はエトワールを7回も任されている。エトワールとは、ショーのクライマックスを飾るパレードで、スポットライトを浴びながら歌う重要な役柄のこと。宝塚でも指折りのシンガーでしたね」
そんな姉の退団が報じられると、相武は自身のツイッターに、〈わ一い。Yahooニュースにお姉ちゃんのこと書いてある〉と喜びを綴っている。しかし、
「紗季ちゃんはゆりちゃんに対して複雑な感情を抱いていると思いますよ」
と、相武の親族は意外な事実を明かすのだ。
■宝塚の呪縛
相武の実家は歌劇団のお膝元である兵庫県宝塚市にあり、母親も元タカラジェンヌという芸能一家だ。
「ゆりちゃんは小さな頃から本当に歌が上手でね。お母さんが宝塚大劇場の楽屋に連れて行くこともしばしば。そのせいか、小学校低学年の頃には“私も宝塚に入りたい!”と言うようになりました」(同)
“母娘鷹”とでもいうべき育ち方をした音花。それに対して妹の相武は、
「正直、歌はゆりちゃんほどではなかったし、本人も宝塚音楽学校に通いたいなんて一度も言いませんでした。姉と比べられることが嫌だったんでしょうね。それで紗季ちゃんは、歌やダンスではなくシンクロナイズドスイミングを習い始めたんです」(同)
そんな相武だが、高校時代にスカウトされて03年に芸能界デビュー。『華麗なる一族』(TBS系)でキムタクの妹役を演じた07年には、13社の広告に起用されてCM女王と呼ばれるまでになった。
それでも、
「相武がテレビ番組でタカラジェンヌの姉がいることを明かしたのは、デビュー後、6年が経過してから。CDデビューしないのも、歌姫である姉に引け目を感じているからだと思います」(スポーツ紙記者)
芸能評論家の肥留間正明氏が苦言を呈すには、
「母と姉がタカラジェンヌという家庭に育ったことがタレント業にも影響を及ぼしています。やはり“清く正しく美しく”では芸能界は渡っていけません。TOKIOの長瀬智也との熱愛も、いつの問にか破局を迎えて華のあるスキャンダルにならなかった。姉の退団をきっかけに、宝塚的な価値観の呪縛から解放されれば、女優として開花する可能性もあると思います」
一方、退団した姉には芸能界入りの意思はなさそう。
「本人は“家庭に入りたい“と話していますよ。まだ結婚相手は決まっていないようですけど」(先の親族)
来月には三十路を迎える相武。姉が“電撃婚”となれば新たなコンプレックスを抱えることに……。