慰安婦誤報「植村隆」元記者に欠片も反省がない「ニューヨーク講演」

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 安倍晋三首相が米連邦議会で歴史的なスピーチを行ってまもなく、ある日本人がニューヨーク大学で講演に臨んでいた。聴衆を前に持論を展開したのは、朝日新聞の“誤報”問題で渦中の人となった植村隆元記者(57)である。従軍慰安婦の存在を世に知らしめた“立役者”には、その日も反省の色はナシだった。

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 今月4日(現地時間)、全米屈指の名門校で開かれた講演会には約80人が詰めかけ、立ち見が出るほどの盛況ぶりだったという。それに気を良くしたのか、植村元記者はのっけから、

「私は北海道の小さな大学、北星学園大学の非常勤講師をしております。週に1回、月給5万円のささやかな仕事ですが、いま日本で一番有名な非常勤講師じゃないかと思います」

 と、古巣が得意とする“自虐”ネタを披露して会場の笑いを誘ったのだ。

 そもそも植村元記者は、1991年8月11日付の朝刊(大阪本社版)で、元慰安婦の肉声を報じた、慰安婦報道の先駆け。昨夏、日本中を揺るがせた朝日の誤報問題でも、その名を取り沙汰された人物である。

「この記事の問題点は、元慰安婦が証言していないのに、“女子挺身隊”として“戦場に連行され”たと書いたこと。この記事が日本軍による強制連行を印象づけたこともあって、慰安婦問題は日韓の外交問題に発展したのです」(政治部記者)

 とはいえ、ご本人にとっては、今も思い入れが強い記事のようで、

「(当時、元慰安婦)本人には会えませんでしたが、慰安婦の聞き取り調査をしている団体に取材し、本人の話を録音したテープレコーダーを聞かせてもらって書いたスクープ記事です」

 と、日本の外交に多大なるダメージを与えたことを尻目に、未だに“スクープ”と胸を張るのだ。

■読売や産経まで

 さらに、批判を浴び続ける記事への弁解は続く。

「私は“だまされて慰安婦にされた”と書いてるんだけど、そういうことはカットして、(官憲による)強制連行みたいに書いたと、『週刊文春』という雑誌が記事にしたんです。異常なことに安倍政権を応援する、サポーター的な立場である読売新聞や産経新聞まで私を攻撃しました」

 だが、古巣の朝日新聞社が設置した第三者委員会も、昨年12月の報告書でこう断じている。

〈「だまされた」と記載してあるとはいえ、「女子挺身隊」の名で「連行」という強い表現を用いているため強制的な事案であるとのイメージを与えることからすると、安易かつ不用意な記載である〉

 今回の講演では、なぜか半年前の指摘については、都合よく“カット”されていた。それどころか、

「仮にだまされた、人身売買だったとしても、慰安所で日本軍の兵士の相手をさせられたこと自体が大きな人権侵害というのが国際的な認識になっている。つまり、強制連行かどうかということは、グローバルな世界は関心がないんです」

 だが、彼が口火を切った慰安婦問題が、いまも日韓関係に暗い影を落とし続けていることは紛れもない事実。京都大学の中西輝政名誉教授が呆れ顔で語る。

「“強制連行があった”と主張してきた朝日新聞の主張が瓦解したいま、この発言は開き直りとしか思えません。アメリカでの講演活動に乗り出したのは、事情を知らない海外メディアが、彼の言い分をそのまま自動的に報じてくれるからでしょう。植村さんを招待した大学は反対の立場の人間も呼ぶべきです。そうでなければフェアじゃないですし、単なる“反日運動”とみなされますよ」

 1時間近くに及ぶ講演を終えた植村元記者は、

「I will fight! I cannot lose this fight!」

 と、声を張り上げた。

 結局、彼には自らの保身しか頭にないのだ。

「ワイド特集 『五月ばか』に付ける薬」より

週刊新潮 2015年5月21日菖蒲月増大号掲載

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