いきなり「23資産」登録の陰の立役者「加藤六月」元農水相長女インタビュー 「世界遺産」10年の根回しと韓国の破壊工作

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■堂々と説明すべき

 さて、今後は、6月末から7月初めにかけてドイツで開かれる世界遺産委員会で、正式決定される運びとなる。もっとも、韓国が今回の勧告に猛反発しているのは、ご承知の通りで、彼らに言わせれば、「23資産のうち7資産で朝鮮半島出身者5万7900人が強制労働をさせられた」のだとか。そもそも、今度の産業遺産は、幕末から明治時代の1910年までを対象としている。韓国の指摘が的外れであることは言うまでもないが、ソウル特派員が言う。

「韓国政府は、イコモスが、日本の産業遺跡群を世界遺産に登録すべしと正式に勧告する前から様々なロビー活動を行って、登録決定を阻止しようとしています。朴槿恵大統領は4月、コロンビアやペルーなど、世界遺産の委員国を歴訪。登録反対を訴えた。また、4月末にはユネスコの韓国政府代表がユネスコの事務局長に、日本の占領時代に韓国人が強制労働させられた施設が、謝罪や反省もなく世界遺産に登録されようとしていることに対する懸念を表明する文書を送っています」

 古田陽久・世界遺産総合研究所所長によれば、

「世界遺産委員会は、毎年1回開催されるもので、世界遺産条約を締結している191カ国から選ばれた21カ国が委員国として会議を行います」

 今回は日本も韓国も委員会に名を連ねているが、康子さん曰く、

「韓国のロビー活動はすごいですよ。委員国に駐在する韓国大使たちが、日本の産業遺産の登録に反対するよう働きかけてますからね。彼らは(産業遺産での強制労働について)、よくナチス・ドイツのアウシュビッツを引き合いに出しますが、同じにしないでもらいたい。『多くの人が(産業遺産で)殺された』みたいなことを言いますが、違うと言わなきゃダメなんです」

 強制労働については、

「あの時は、戦争で本当に人手が足りなくて、国家総動員法で彼ら(朝鮮半島出身の人々)は日本人として働いたわけですよ。だから、賃金も支払われていた。未払い分に関しても、1965年の請求権協定で解決している。それを堂々と韓国政府や関係国に説明すべきです。他の国は日本の歴史なんか知らないんですから」(同)

 と、強気なことを仰る。とはいえ、何やらお祝いムードが支配的な世間とは違い、決して楽観視しているわけではなく、

「通常、イコモスから『登録』の勧告が出たら、委員会でも基本的に『登録』が決議される。ところが、過去この慣例がひっくり返ったこともあるんです」(同)

 具体的には08年、イスラエルの「ダンの三連アーチ門」が登録を勧告されていたものの、委員会でアラブの国の反対に遭い、結局、見送られている。

「おそらく、韓国は最後まで反対するでしょう。そして、イスラエルのようになることを狙っているのではないでしょうか」(同)

 先の古田所長によれば、世界遺産委員会の会議規定には、21カ国中、何カ国が反対した時、投票が行われるといった決まりはない。議長国の裁量により、投票か話し合いかで決定する。

「審議延期という選択肢もありますが、その場合、日本は来年、委員国を外れてしまうので目はなくなる。だから、どこか、他の委員国に多数決の動議を出してもらうしかない。その際は、3分の2、つまり14カ国以上の賛同を得なくてはなりません。今、そのために外務省と一緒に各国を回っているところです。私の感触でいえば、韓国が日韓の歴史問題にこだわる以上、少なからず投票を放棄する国が出ると見ています。そうなれば、日本は窮地に立たされる。産業遺産の価値そのものではなく、おかしな政治問題を持ち込まれて、本当に大変です」(同)

 まさか、康子さんの10年に及ぶ根回しが韓国の破壊工作でぶち壊しに? 冗談じゃないよな。

週刊新潮 2015年5月21日菖蒲月増大号掲載

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