大規模デモに米軍の攻勢に「朴槿恵大統領」の限界

国際 韓国・北朝鮮

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 300人以上の犠牲者を出したセウォル号沈没事故からちょうど1年。4月16日のその日、朴槿恵(パククネ)韓国大統領は追悼行事もそこそこに外遊へと飛び立った。

「大統領は当日、現場海域に近い珍島(チンド)で、被害者遺族と言葉を交わすはずでした。が、遺族たちは島まで来た大統領との面会を拒絶したばかりか、焼香所を閉鎖、大統領は焼香もできませんでした」(国際部記者)

 そればかりではない。

「そんな日に南米歴訪に出発する大統領に批判の声が高まり、ソウルでは18日、市民3万人が集結、大統領退陣を叫び、一部が警官隊と衝突しています」(同)

 一時期持ち直していた支持率も側近の裏金疑惑の発覚で34%へと急降下、その上、14日には、就任して2カ月の李完九(イワング)首相にも裏金疑惑が噴出、セウォル号事故で最多の被害者を出した安山(アンサン)では、弔問に訪れたその李首相が遺族に追い返されている。今の朴政権は満身創痍どころではないのだ。

 追い討ちをかけるように17日、米太平洋軍司令官が思いもかけぬ発言をした。

「最新鋭のミサイル迎撃システム、THAAD(サード)の韓国内配備を検討していると明らかにしたのです」(同)

 北朝鮮の核小型化成功が囁かれる中、弾道ミサイルヘの核実装は現実の脅威だ。米軍の懸念は当然だが、

「安全保障はアメリカに、経済は中国に、と二つの超大国への“コウモリ外交”を続けてきた韓国にとって、これは難題です」(韓国在住のジャーナリスト)

 なぜなのか。

「THAAD配備には、当初から中国が反発していたからです」(同)

「コリア・レポート」編集長の辺真一氏も言う。

「レーダーの索敵可能範囲に中国の一部も含まれるのです。そのため、いくらアメリカが“対北朝鮮の防備だ”と言っても、中国は韓国に配備反対を何度も伝えています。韓国内から、“内政干渉ではないか”と反発の声が上がるほどです」

 それでも中国の意向を無視し得ず、言を左右にしてこの問題を避けていた韓国。9日にカーター米国防長官が訪韓した際も、「配備は議論する段階にない」との言質を得て、ほっと胸を撫で下ろしていた矢先だった。

 泣き面に「踏絵」とは。

週刊新潮 2015年4月30日号掲載

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