「高校サッカー部員」22人が万引きという「ソウル商店街」偽物一覧

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 韓国・ソウルの「東大門(トンデムン)」は“コリアの渋谷”と呼ばれ、若者が集う巨大なファッションビルの足元にショッピングモールが広がる一大繁華街。親善試合のために訪韓していた埼玉県の本庄第一高校のサッカー部員22人は、情けないことに帰国当日にこの街で万引きを働いた。彼らが盗んだ商品はどんなものだったのか。

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「被害に遭ったのは、『ミリオレ東大門』というファッションビル内のアクセサリーショップや雑貨店など9店舗。サッカー部員らが買い物を始めた午前10時半頃はビルこそオープンしたものの、ショップの店員はまだ2~3人しか出勤していない時間帯でした。彼らはその隙を狙い、化粧ポーチや小銭入れ、キーケースなどの小物やベルトなど合計73点を盗んだのです。いずれも一見、イタリアやフランスの高級ブランド製ですが、実は全てコピー品。幸か不幸か学校側が弁償した被害額は26万円で済みました」(現地記者)

 が、当の部員たちは財布などが雑然と並べられていたことから、盗んだ商品が安価なコピー品と知っていたようで、

「“しょせん偽物”“安物だ”という意識も、彼らを安易な愚行に走らせた一因と見られています」(同)

 それにしても、地域のシンボル的なファッションビルで、堂々と違法なコピー品が販売されていたことには驚かされる。

■コピー業者が作った新作

 では、万引きされたコピー品の質はどの程度なのか。

「実はニセモノにもランクがあって、作りの細かさによって価格は変わるんです。今回の被害品の平均価格は約3600円。決して良い品ではないはずですよ」

 と前置きしつつ、今回の被害品を分析するのは、都内の大手質店幹部である。

「まず目に付くのはエルメスです。フランスの超高級ブランドで年齢を問わず女性に大人気。ですが、盗まれたのは一目で偽物と分かる代物ばかりですね。例えばベルトですが、正規品は表裏の革の色が異なるリバーシブルに作られています。ところがこれは単色に見えます。バックルの造作も適当で、こういうデザインは存在しません。『H』のマークが正面にあしらわれた小銭入れやキーケースもオリジナルにはないものです」

 黒色系のシャネル風の小銭入れも、オリジナルにはないデザインだと指摘するが、これらは言うなれば“コピー業者が作った新作”だとか。その一方で、

「辛うじてコピー品と呼べそうなのはポーチ類です。正規で買うとグッチは約3万円、コーチなら2万円程度でしょう。ただ、かなり昔のデザインなので、もはやショップでは売っていないと思います」(同)

 その道のプロから見れば、失笑を誘うコピー品ばかりだが、一つだけ目を引くブランドがあった。ボッテガ・ヴェネタである。

「完成度はさておき、頑張って作ったなあという印象なのがこの長財布。イントレチャートという短冊切りにしたレザーを編み込んでいくボッテガの代表的なデザインです。正規品なら7万~8万円。この手のタイプは人気があって、うちでもよく扱いますよ」(同)

 サッカー部員らが母校につけた傷だけは本物である。

「ワイド特集 人間の愚かさについて」より

週刊新潮 2015年4月23日号掲載

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