プロ野球「スカウト」が熱い ラグビー「清宮監督」Jr.は高1

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 俳優の佐藤浩市、歌手の宇多田ヒカル、そして映画監督の蜷川実花――。3人に共通するのは、偉大な実績を誇る親を持つ点だ。スポーツ界でも“親子鷹”は少なくない。数年後、親子でスポーツ紙の1面を飾るのではないかと評判なのが、ラグビー元日本代表の清宮克幸氏(47)と、幸太郎クン(15)父子なのだ。

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 カキ~ン。東京都調布市の野球場で、大きな打球音が鳴り響いた。中学生で構成される野球チーム『調布シニア』の選手たちが練習していたのである。

 元ヤクルトの荒木大輔や、元阪神の関川浩一などを生んだ名門チームの練習を見学していたのは、プロ野球のスカウトマンたち。彼らの視線は、打撃練習をしていた身長184センチ、体重l00キロという恵まれた体躯の少年に向けられていた。スポーツ紙記者によれば、

「スカウトマンたちが注目しているのは、清宮幸太郎君です。彼は、3年前に北砂リトルが世界選手権を制した時のエースで4番。リトルリーグ時代、通算132本塁打という打撃センスには目を見張るものがあります。やはり、運動神経の良さは父親のDNAを受け継いだのでしょうね」

 幸太郎クンの父親は現在、ラグビー・トップリーグのヤマハ発動機ジュビロの監督を務める清宮克幸氏。早稲田大2年生の時、東芝府中を破り母校を日本一に導いた名ラガーマンだったことはご存じの通り。

「時々、父親の克幸さんも練習を見に来ていますよ」

 こう語るのは、調布シニアの安羅岡一樹監督だ。

「長年、子供たちを見てきましたが、清宮君ほど優れた選手は初めてです。今は投手ではなくファーストを守らせていますが、全国のシニアチームを見渡しても、彼ほど打撃センスのある左バッターはなかなかいません。何しろ、試合でも飛距離160メートルの本塁打を連発していますからね」

■平成の怪物?

 リトルリーグ時代から幸太郎クンを取材している、スポーツジャーナリストの二宮清純氏もこう絶賛する。

「彼が凄いのは力任せに振り切るのではなく、変化球にも対応する柔らかな“大人のスイング”ができる点。剛と柔を兼ね備えた、彼の巧みなバッティングを見て、“平成の怪物”になるのではないかと予感しました」

 プロのスカウトが熱くなるほどの“怪物”を高校野球の名門校が放っておくはずもないが、

「彼はこの4月に早稲田実業中等部から高等部に進学しました。つまり、他校が手出しできなかった“大物選手”だったわけです。すでに、本人はプロを意識しているでしょう。その証拠に飛距離は伸ばせるがプロでは使用を禁じられている金属バットから、木製バットに替えていますからね」(先の記者)

 2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催されるが、克幸氏は代表監督に立候補している。その時、幸太郎クンがプロで活躍している可能性もなくはない。だが、なぜ、父親は息子に自分とは違う道を歩ませたのか。清宮氏の知人が代弁する。

「克幸さんの父親が大の野球ファンで、克の字は野村克也さんから取ったほど。彼は“ラグビーは成功しても、食べていくのは大変”だと苦笑していました」

 早ければ、この夏にも甲子園で彼の豪快なスイングを拝めるかもしれない。

「ワイド特集 残る桜も散る桜」より

週刊新潮 2015年4月9日号掲載

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