日本の貧困と格差(前篇) 「年金では生きていけない赤貧の現場」――亀山早苗(ノンフィクション作家)
コツコツと働けば定年後は年金で相応の暮らしが、というのは過去の話だ。年金は引き下げられ、医療費や介護保険料は上昇。ひとたび不慮の事態が発生すれば、赤貧状態に突入する。もはや誰にとっても他人事ではない貧困と格差の現状を、3回にわたり報告する。
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支給された国民年金からアパートの家賃を支払うと、お金はほぼ残らない。ガスも電気も止められ、野草を食べたり、ホームレスの炊き出しに並んだり……。そんな生活をしている70代男性を民生委員が見つけ、NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典代表理事の元へ連れてきたことがある。...