30年代のメディアを俯瞰する/『批評メディア論――戦前期日本の論壇と文壇』

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 おそろしく膂力のある若い批評家の誕生である。冒頭で提出される問いは、日本に言論、思想、批評といった営為は存在したのかという大テーマ、その作業工程はといえば、一九三〇年代の綜合雑誌、文芸誌、新聞学芸欄を総ざらいして、精緻に読み込むという手間暇をかけている。なにやらカビっぽい臭いがただよってきそうだが、さにあらず。小生意気な文章には清潔なデジタル感覚がある。古くさい言葉で恐縮だが、「書巻の気」があり、且つ、ないといった本である。

 一九三〇年代の綜合雑誌を見ると、その分厚さに驚く。...

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