賞金24億円「月面レース」に挑む日本「HAKUTO」

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 気宇壮大、である。グーグルがスポンサーとなり、アメリカのXプライズ財団が主催する“グーグル・ルナ・Xプライズ”は、国際的な宇宙開発レースだ。

「このプロジェクトは、2007年9月にスタートしました。16年12月31日までに、月面に純民間開発の無人探査機(ローバー)を着陸させ、そこから500メートル以上走行させること。高解像度の動画や静止画を地球に送信すること。これらのミッションをもっとも早く成し遂げたチームには、2000万ドル(約24億円)の賞金が授与されます」(科学ジャーナリスト)

 アメリカやドイツ、インド、イタリアなど18チームで競っているが、わが日本のチーム“HAKUTO(ハクト)”も健闘している。

「日欧混合チームとしてスタートし、欧州側がランダー(月着陸船)を、日本がローバーを開発していたが、欧州側が資金難で撤退。日本チームは単独で挑戦を続けることにした」(同)

 小惑星探査機「はやぶさ」に携わった吉田和哉・東北大学教授が進めるローバーの開発は順調で、1月27日には、ローバー部門で中間賞を受賞し、50万ドルを獲得。だが、ロケットもランダーもない。そこで出てきた策は、他チームヘの“相乗り”だった。2月23日、参加チーム中の最大のライバルである米アストロボティック社と、月面輸送契約を結んだのである。

「料金は、重量1キロあたり120万ドル。開発中のローバーは、2輪車と4輪車合わせて10キロです」(“ハクト”を運営するispace)

 これだけでも10億円を超えるお金がかかる。スポンサーもさらに必要だが、

「吉田先生の言では、“月に着きさえすればウチが一番”。他チームより軽く、速いローバーを開発しています」(同)

 打ち上げは来年後半の予定。“ハクト”の活躍が、今から楽しみだ――。

週刊新潮 2015年3月5日号掲載

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