人はなぜ地図を作り続けるのか/『オン・ザ・マップ 地図と人類の物語』
タイトルの意味は「地図について」。加えて「地図に載るくらい有名になる」の意もあるそうだ。要するに本書は、構えの大きな地図の文化誌で、地図にかかわる古今のことがら万般が語られる。
地図史の黎明期を飾るエラトステネス、ストラボン、プトレマイオスらのこと。現世の地理学と来世のイデオロギーとが混然と融合した中世のマッパ・ムンディ(世界地図)の話。コロンブス以前の紀元一〇〇〇年ころ、すでに北アメリカの存在を知りヴィンランドと呼んでいたヴァイキングたちの地図をめぐる、イェール大図書館を舞台にした近年の真贋大騒動。...