「バーニーズ」売却でも埋まらない「住友商事」の穴

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 買うところあれば売るところあり。住友商事は2月12日、アメリカ高級衣料品店「バーニーズ ニューヨーク」を日本で運営するバーニーズ ジャパンの持分全株を、セブン&アイに譲渡したと発表した。

「バーニーズは、1923年創業の老舗。89年、伊勢丹がブランドライセンスを取得し、100%子会社として日本で営業を始めた」(流通ジャーナリスト)

 2006年に伊勢丹が住友商事と東京海上グループのファンドに全株式を譲渡。住友商事は、わずか1株だけ多く所有する筆頭株主として経営にタッチしてきた。

「新宿、横浜、銀座などの他、アウトレットも含め11店舗を展開しており、売上は190億円前後」(同)

 今回の譲渡について、

「私どものブランドビジネスは、その事業価値を高めたところで売却するというもの。バーニーズも、今後の成長を支える基盤の整備や事業価値の向上に目途が立ったので、昨年1月にパートナーとなったセブン&アイに譲渡する判断に至りました」(住友商事)

 と説明するが、

「売らざるをえない事情があった」(経済部記者)

 その事情とは……住友商事が2月3日に発表した14年度第3四半期の連結決算で、最終損益が102億円の赤字だったことだ。

「アメリカでのシェールオイル開発やオーストラリアの石炭事業などで、約1928億円の減損損失を計上した」(同)

 住友商事は、

「決算発表と譲渡の時期が偶然重なっただけで、関係は全くありません」

 と言うけれど、譲渡額が約60億円とされるところから、“穴”をブランドで埋めた、と言われても仕方ないタイミングだったのである。

週刊新潮 2015年2月26日号掲載

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