芝居でめしが喰えた男/『小幡欣治の歳月』
新劇の群小劇団からスタートし、商業演劇の世界で一時代を築いた劇作家・演出家小幡欣治(一九二八―二〇一一)がたどった道のりを、観客として評論家として、何より親しい友人として、半世紀以上つきあった著者が振り返る。
先輩作家に「日本で芝居を書くだけでめしの喰えるのは、小幡欣治ただひとり」と言わしめた小幡だが、東宝専属の作家として三木のり平主演の「あかさたな」や、有吉佐和子原作の「三婆」など数々のヒット作を書いたあとは、新劇の世界に戻って劇団民藝に脚本を書いた。...