ベッドでマイクを握る「中森明菜」のDVDが痛々しい

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 スターとは、まさにキラキラと輝く存在を指す。しかし、「彼女」がいま放つ光は、どこかに妖しさと危うさを感じさせる。昨年末の紅白歌合戦で、中継ながら久しぶりに生放送に登場した中森明菜(49)だが、1月28日に発売されたニューカバーアルバムからは、真の復活とはかけ離れた暗さが漂ってくるのだった。

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 健康を害しているのではないかと疑わせるほど「ほっそり」とした明菜が、黒いホルターネックワンピースを身に纏(まと)い、なぜか白いベッドの上でコード付きのマイクを握っている。女性デュオ・Kiroroの名曲『長い間』を情感たっぷり、いや「過感情」に歌い上げると、彼女の目には涙が浮かび、かと思うとニヤッと笑みを浮かべる――。

 件のアルバム『歌姫4』に付けられたメイキングDVDの中の明菜は、ストレスによる免疫力低下で2010年から歌手活動を休止していたことを思い出させるかのように、「不安定」という言葉が似合っていた。

「やはり、かなり痩せている印象を覚えました」

 と、DVDを見た音楽評論家の斉田才氏は解説する。

「ベッドでコード付きマイクは不自然ですが、彼女が活躍していた80年代のレトロな感じを敢えて出そうとした可能性もあります。しかし、普通はやりませんから、スタッフが明菜さんに気を遣わざるを得なかった上でのこととも考えられる。アーティストは感情の起伏が激しいものですが、マイクを握るとグッと集中力が高まります。今回も、そうやって彼女を落ち着かせたんでしょう」

 明菜を取材した経験のある芸能記者の説明によれば、

「彼女は近々、カバーではなくオリジナルアルバムを出し、本格的にテレビなどの表舞台に戻る計画を立てていると聞いている。DVDはその地ならしで、病的に見えて心配になる反面、こういう姿も彼女の魅力と、波紋を起こそうとしたんだと思います」

 先の斉田氏は、

「メイキング映像の題材に、Kiroroの曲を選んだのは文字通り、回復まで『長い間』待たせてごめんね、というメッセージだったとも感じますね」

 と、今後の彼女に期待を寄せるのだが……。

 これまで幾度となく、「往年の明菜」の再生を信じ、そして裏切られてきたファンは、またぞろの復活観測に飽きながらも、辛抱強く待ち続けるしかない。

「ワイド特集 風雪の大和なでしこ」より

週刊新潮 2015年2月19日梅見月増大号掲載

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